組織が小さかったりスタートアップ企業などでは全員が団結して全ての課題に取り組むというところが多いだろう。だが、リモートワークの導入、運用の効率を考えると、タスクの割り振りも重要になる。どのようにして依頼する側もされる側も気持ちよくタスクの割り振りができるのか?
Open Forumの記事「Delegation Techniques: 5 Steps for Putting Your Delegation Plan into Action」が5つのステップを伝授している。寄稿するのはサイバーセキュリティやテクノロジー業界を中心に20年以上の執筆実績を持つRodika Tollefsonさん。記事では、中小規模企業、スタートアップの多くが"全部やる"傾向が強いと指摘している。「事業活動やタスクのすべてに関与しており部下や他の人に割り振っていない。これが成長のボトルネックになっている」とビジネスアドバイザーJeff Dyck氏のコメントを紹介している。
では、仕事を割り振るステップとはどのようなものか?
1.「なぜ」と「何を」を理解する
何を割り振ればいいのかがわからないという場合、自分の日々の活動記録を3~5日間つけてみよう。できれば、15~30分刻みで何をやっているのかをメモする。付けた記録を見れば、自分が関わるべき優先順位が高いタスクはどれかが見えてくるはず。優先順位はプロジェクトやタスクの重要度だけでなく、自分が得意とすることかどうかも指標になる。例えば、会計が得意ではないなら、その部分は他の人に任せたりアウトソースできる。これにより、割り振りに当たって「何を」と「なぜ」が見えてくる。
2.割り振りのためのプランと戦略を考える
記事によると、割り当てでよくある間違いとして、プラン(計画)と戦略をしっかり立てていないことがあるという。ここがうまくいかなければ、一貫性のある割り振りができず、効果も半減してしまう。場合によっては、余計に負荷が増えてしまいかねない。
ではどうすればいいのか?
記事では、まずは割り振ることによってどんな結果を得たいのか、そのために必要なステップとプロセスを決めておくことを勧めている。結果を測定する方法、そのために何をすべきかも考える必要があるだろう。Dyck氏は、特定し、測定し、達成かどうかがわかり、時間を設定できるなどの要素を考えることをアドバイスしている。 これらを加味して割り振りが明確になったら、標準的な運用方法を決める。誰が・どのように、いつまでにやるのか、その人が休みだったり退職したらどうするのか、というところまで考えておきたい。これにより、割り振ると決めた特定のタスクについて、標準的な運用が決まり、測定がしやすくなる。
3.人を決める
では、誰に割り振るのか。そのタスクに適切な人はだれか?ここを誤ってしまうと、成果が得られなくなるので慎重に考えよう。そのためには、部下やチームのメンバーの技能レベル、興味・関心、性格などをある程度把握しておく必要がある。望ましいのはそのタスクを得意とする人。だがもしそういう社員がいない場合も、現時点では技能がないがスキルを身に付けたいという興味関心がある社員がいるかもしれない。
4.成果とプロセスで期待値を設定する
割り振ったタスクの成果とプロセスの期待値を決めておこう。この期間で、この効果が欲しいと決めておけば、割り振った社員を細かくマネジメントする必要はなくなる。もし期待値を決めずマイクロマネジメント状態になると、実際にはタスクをしていなくてもそのタスクに時間を割かれていることになり、せっかく割り振った意味がない。経過について、割り振った社員やメンバーからどのように報告してもらうのかも決めておきたい。
記事では合わせて、状況を見ながら期待値を柔軟に変更することもアドバイスしている。割り振ったタスクはあなたのタスクではなく、割り振られた人のタスクになったのだ。その人とのコラボレーションや円滑なコミュニケーションが重要になる。
5.フィードバックや支援を忘れずに
割り振った後は、そのタスクを行う社員やメンバーに対してフィードバックを忘れずに。そこでは、成果とプロセスだけにこだわるのではなく、必要なサポートやリソースについても聞き取るようにしたい。
特に最初の細かなタスクの分析が重要だ。文字や言葉は実際の物理的な行動を一括にして名詞化してしまう。例えば単純に"レポートする"という言葉には、調べる文献の数や使用言語の翻訳頻度、現地調査の有無なども隠れうる。"Webにアップしておいて"には使用ツールやパスワード、雛形となるべきテンプレートや仕様書の存在場所も必要になる。標準化されていないタスクは想定よりも詳細に書き出すことで委任を依頼する側とされる側の齟齬が減るし、依頼される側が対策も練り出せる。