NECソリューションイノベータは7月9日、米SomaLogicとの協業を開始し、ヘルスケア事業を展開する新会社「フォーネスライフ」を設立すると発表した。フォーネスライフの資本金は2億円で従業員は10人、所在地は東京都江東区。
NECソリューションイノベータ代表取締役執行役員社長 杉山清氏は「日本人は健康に対する意識が高く、世界でも有数の長寿社会を実現している。今後はフォーネスライフが疾病予防、健康管理に関するサービスを提供し、NECソリューションイノベータと一体となりながら『人生100年時代』に貢献していきたい」と述べた。
SomaLogicの技術は、75μl(約2,3滴)の血液成分から5,000種類以上のタンパク質の解析を可能にするため、少量の血液から健康に関する大量のデータを取得することができるという。この技術を日本で活用するために、NECソリューションイノベータとフォーネスライフは、研究機関(※1)と共同で、日本人向けの疾病予測アルゴリズムを確立するとのこと。
フォーネスライフは、SomaLogicが保有する血中タンパク質の解析技術と、NECグループが保有するAI・解析技術を組み合わせることで、現在および将来の健康状態、疾病リスクを可視化するという。
加えて、疾病リスクに合わせた食生活の改善や運動の提案など、一人ひとりに適した改善策とあわせて、それを実行した場合の結果をシミュレーションして提示することで、疾病予防・健康改善に向けた自発的な行動変容を促すとしている。このサービスは提携する医療機関などより2020年10月からサービス提供を開始するとのこと。
フォーネスライフ代表取締役社長 江川尚人氏は「我々のサービスは、疾病リスクを予測し、さまざまな方の健康状態の見える化を行い、そして可視化した結果が悪い場合に個別の改善提案を行いシュミュレーションする。明るい未来と望まない未来の両方を示し、行動変容を後押ししたい」と語った。
また、SomaLogicの技術と日本人向けの疾病予測アルゴリズムを活用し、ヘルスケア企業・団体が提供するサービスの品質向上や、新たなサービスの共同開発・提供も行うという。具体的には、フィットネスや食品・美容関連の企業と連携し、疾病リスク低下に向けたパーソラナイズトレーニングメニューや、エビデンスに基づく化粧品の開発などだ。
「多くのパートナー企業との共創でエコシステムを構築し、一人ひとりの命の声に寄り添い、生活に密着した価値に貢献していきたい」(江川氏)
今後、フォーネスライフは心血管・脳血管疾患(初発)や認知症など対象疾病の拡充を進めるとともに、提携先の拡大を図り、事業者、医療機関、研究機関をつなぐエコシステムの創造に向けて、ヘルスケア以外の業種・業界の企業ともパートナーシップを組み、2029年度に売上高1,000億円を目指すとしている。
(※1)フォーネスライフのアドバイザー
国際医療福祉大学 副大学院長、東北大学 医学系研究科 客員教授 下川 宏明氏
京都大学 医学研究科 附属ゲノム医学センター長・教授 松田 文彦氏
東京大学 医学系研究科 リピドミクス社会連携講座 特任教授 小田 吉哉氏