AGCとFRONTEOは2日、共同でAIやITを活用し独自のノウハウと熟練技術が必要なガラス製造に必要な技術を伝承するためのシステム「匠KIBIT」を開発したことを発表した。世界規模でガラス製造を行うAGCは、すでにシステムの国内運用を開始しており、今後は欧州を含むグループ拠点でのシステム展開を目指す。

  • AI Q&Aシステム「匠KIBIT」(同社資料より)

    AI Q&Aシステム「匠KIBIT」(同社資料より)

110年を超える歴史、200を超えるグループ企業を世界に展開するAGC。独自の素材とソリューションでガラスのみならず、電子、化学品、セラミックスと素材を活かした事業を最先端のテクノロジーと融合させる同社は、独自AI技術の開発を行うFRONTEOとともに、ガラス製造に必要な技術伝承するためのQ&Aシステムを開発した。

強度や断熱性、防音性、塗料のコーティングなど現代では用途に応じて、実に多様な素材となっており、6月にはNTTドコモと共同で窓を基地局化するガラスアンテナまで開発している(プレスリリース)。いかようにも変容し繊細で製造には職人の技を連想するガラスだが、やはり長年蓄積してきた熟練者の技術が課題になっていたようだ。

  • 「匠KIBIT」の利用イメージ(同社資料より)

    「匠KIBIT」の利用イメージ(同社資料より)

AGCは、ガラスの溶解・成形・加工などの製造技術継承のため2017年より「匠プロジェクト」を立上げ、熟練者の技術伝承という課題に向かっており、FRONTEOの自然言語解析AIエンジン「KIBIT」を活用することでAI Q&Aシステム「匠KIBIT」の完成に至っている。

  • 「匠KIBIT」のシステムイメージ(同社資料より)

    「匠KIBIT」のシステムイメージ(同社資料より)

聞きたい質問の特徴をKIBIT学習し、質問を評価し類似度の高い回答を質問者に自動応答するQ&Aシステムに加えて、自動回答できなかった質問に対してAIが該当する熟練技術者を推定し、回答依頼を行う。これにより技術伝承に必要なデータの共有と蓄積が行われようになる。AGCの国内ガラス製造拠点で運用が開始されており、着実な成果を上げることで海外製造拠点での活用も目指しているという。

「KIBIT」を提供するFRONTEOは2003年創業のIT企業。リーガルテックAI事業や人工知能を活用したビジネスインテリジェンス事業、医療・介護の現場で活用するAI技術の提供するライフサイエンスAI事業などを最新のAI技術の開発と提供を行っている。