キヤノンは6月24日、光子1個が画素に入射するとそれを電気パルス信号として出力することで、撮像時の高感度化や測距時の高精度化を可能とするSPAD(Single Photon Avalanche Diode)センサとして、100万画素の撮像が可能なイメージセンサを開発したことを発表した。
同センサは、新たな回路技術を採用によりフォトンカウンティングの原理を用いたことで100万画素を実現。また、すべての画素に対して露光を一括制御できるグローバルシャッター機能も搭載。露光時間は3.8nsまで短縮できるため、ゆがみのない正確な形状で撮像できるほか、1bitの出力で最大24,000fpsの高速撮影を可能とした。これにより、人間の目では正確に捉えることができない化学反応や雷などの自然現象や、物体の落下や衝突時の破損の様子などを、一部始終にわたって詳細に撮影できるようになるため、現象の解明や安全性・堅牢性の解析など、幅広い分野での応用が見込まれると同社では説明している。
また、時間分解能は100psとしており、光子が画素に到達した時刻を高精度で認識することが可能。この性能を活用することで、Time of Flight(ToF)方式による距離測定も可能なほか、100万画素の解像度と高速撮影を組み合わせることで、複数の被写体が折り重なっている複雑なシーンでも高い精度で3D測距を行うことが可能となるため、自動運転での車間距離測定やxR関連デバイスなどにおける3次元空間情報の把握にも活用できるとしている。
SPADイメージセンサーは、極めて短い時間内に起こる高速な現象など特殊な静止画・動画を撮影する2次元カメラとしての応用に加え、被写体までの距離情報を画像として取得する3次元カメラへの活用が期待されます。
なお、同社ではスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の科学者と一緒に、同センサを搭載したカメラの開発を実施。その成果を記した論文が米国光学会(OSA)が発行する月刊誌「Optica」に掲載されたとしている。