エクサウィザーズは開催中の「2019国際ロボット展」(iREX2019)において、介護予防ロボット「ロコピョン」(LocoPyon)を出展していた。シャープの「ロボホン」を使用したシステムで、タレントのいとうまい子氏がプロデュース。高齢者を励ましながら一緒に運動することで、介護状態になることを防ぐという。
加齢と共に人間の筋力は低下するが、移動が億劫なほどになると運動量が減り、それによってさらに筋力が低下するという、悪循環に陥ってしまう。何も手を打たなければ、最終的には寝たきりの要介護状態になる恐れがある。
筋肉や関節の機能が低下した状態は、「ロコモティブシンドローム」(運動器症候群)と呼ばれる。これを防ぐには、スクワットなど、習慣的な運動が効果的だ。しかし、高齢者に運動を促す方法としては、これまでは電話をかける「ロコモコール」が一般的だったが、人手不足が深刻化するなか、どうしても人力には限界がある。
ロコピョンは、ロコモコールに代わる手段として、開発されたロボットだ。1日3回(朝昼晩)、高齢者と一緒にスクワットを実施。モチベーションを高めるために、スクワットが上手にできたか判定する機能も備える。展示の試作機ではRealSenseが使われていたが、低コスト化のため、ロボホンのカメラを使用することも検討中とか。
エクサウィザーズは、2016年設立のAIベンチャー。AIを活用したサービスの開発は得意なものの、介護予防に関してはノウハウが無かったため、大学院で介護予防の研究に取り組むいとう氏に声をかけ、共同開発がスタートしたという。なお、いとう氏は2019年1月より、同社フェローに就任している。
「介護ばかりが重視されがちだが、介護はロボット化が難しい。やはり介護状態にならないように予防してもらうのが一番良い」と、いとう氏は指摘。「寝たきりになってしまうと人生が楽しくない。これからは人生100年時代。なるべく筋力を"貯金"しておくために、運動を毎日のルーチンとして続けて欲しい」と、ロコピョンの活用に期待する。
ロコピョンの発売時期は現時点で未定。今後、いくつかの施設で実証試験を行うなどして、実用化を目指す考えだ。