半導体市場動向調査会社である仏Yole Développementは、2019年のCMOSイメージセンサ(CIS)市場は、スマートフォン(スマホ)、特にハイエンドでの搭載数が伸びていることもあり、前年比10%増と堅調に成長するとの見通しを明らかにした。
ハイエンドスマホは、1台あたり4~6台のカメラを搭載するようになっており、今後3~4年は、そうした機種が増加していくことが見込まれるとYoleでは見ているが、その一方で、特別な事情でも生じない限りは、それ以上の搭載は期待できないとしている。また、その時期はいつかははっきりとしないものの、同社の将来の市場予測のグラフでは、徐々に成長率が鈍化していっており、2024年には前年比1%の伸びに留まることが記されている。
スマホ以外の市場はマイナス成長
2019年のCMOSイメージセンサ市場の69%を占めるスマホ向け以外の市場(コンピューティング、コンシューマ、自動車、医療、セキュリティ、産業)についてYoleでは、2017年第4四半期以降、軟調が続いており、2017年第4四半期には15億ドルあった市場規模が現在は11億ドルまで低下。同社では通常、こうした製品は季節変動の影響を受けにくいが、コンシューマ向け(デジタルカメラ、デジタル一眼レフ、アクションカメラ、ドローン)ならびにコンピューティング向け(デスクトップ、ラップトップ、タブレット)という従来のスマホに次ぐ市場規模を持つ2つの分野の凋落傾向が続いており、自動車ならびにセキュリティと同程度の規模になっていると指摘。その一方で、自動車およびセキュリティ向けが成長をしてきており、2019年第1四半期~同第2四半期にかけてこれら2つの市場は、スマホ向けに次ぐ2番手の市場にまで成長したという。
ただし、米中貿易紛争の影響から米国、中国の自動車市場が低迷しており、1台あたりのCMOSイメージセンサの搭載数は増加しているにもかかわらず、販売台数そのものの低迷の影響を受けており、その結果として2019年の当該分野の市場成長率は5~10%減と同社では予測している。セキュリティ分野も似たようなことが起こっており、当該分野の2019年の成長率は横ばいになる可能性があるとしている。
さらに、2014年から2017年にかけて年間平均成長率26%増で成長してきた産業分野も、半導体および自動車産業の設備投資の停滞により、市場規模が2017年第4四半期んも1億3500万ドルをピークに現在は1億ドル前後に留まる状況となっているとしている。
なお、2020年については、中国市場が周期的な市場の調整局面の底に達したことが見えてきたことから、成長の再開が期待できるのではないかとしている。