京セラは、9月4日から6日にかけて幕張メッセにて開催されている分析機器・科学機器専門展示会「JASIS 2019」にて、ナノリットルレベルの液量制御が可能な自動なのリットルピペッターのデモなどを行っている。

自動ナノリットルピペッターは、同社のピエゾデバイスと、微細部品製造のノウハウを有する山田精工による極微細先端樹脂チップを組み合わせることで、ナノリットルレベルでサンプルの吸引、気中排出、液中連続吐出、複数吸引/混合/排出といったことを自動で行えるようにした装置。あまりに微量の吸引のため、どれくらい吸引したのかについては、カメラを用いた画像判定で識別する仕組みとなっている。

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    京セラが開発した自動nLピペッター

分析装置の前処理としても、独立して利用することも可能だが、同社担当者によれば、これを活用することで、マイクロピペットと比べてサンプル量を1/30~1/100に抑えることが可能になるとしているが、デモを行っているのはプロトタイプであり、今回の出展を機にニーズの吸い上げと改良を進めていく予定とのことで、2020年度には商用化に結び付けたいとしていた。

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  • 自動nLピペッターの内部。非常に細い径のピペッターが備え付けられている

また、2018年に開発した細胞分離・濃度計測デバイスについては、Makerのシゲラボと強力して開発したアタッシュケースサイズのデモキットを披露。これをベースとした同サイズの評価キットも完成済みということで、国内アーリーアダプタが評価を進めている段階にあるという。

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  • 細胞分離・濃度計測デバイスのデモキット。これをベースとした評価キットもすでに完成済みとのこと。デモではLEDを光らせて、流路の表現が行われているが、これは実際に色つき液体を通そうとしても、あまりに細くて色が見えないため、分かりやすさを重視した結果だという

このほか、同社ブースでは開発中のデバイスとして、超音波センサや超音波トランスデューサの紹介が行われていたり、参考出展として1つの機能を持たせたキューブを繋ぎ合わせて、手軽に研究手順の確認などを卓上で可能にするデスクトップフローケミストリーなどの紹介が行われている。

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    1つのキューブに1つの機能を搭載し、それを繋ぎ合わせることで、求めるプロセスを簡単に実現しようという試みであるデスクトップフローケミストリーのデモの様子。この研究は同社と大阪府立大学が共同で進めているものとのこと

超音波センサは最大100MHz程度まで周波数の選択が可能なマイクロアレイ型の超小型センサで、従来手薄な60MHz程度をターゲットとした血管内超音波検査などへの適用を提案していた。一方の超音波トランスデューサーは、最大2MHzまで周波数の選択が可能なデバイスで、デモでは複数のユニットを組み合わせて、それらの超音波を集束できている様子が示されていた。

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  • 超小型マイクロアレイを構成することで実現された超音波センサ。アレイの数やサイズは出力(フォーカスまでの距離や周波数)に応じて変えることができる。顕微鏡で拡大した画像を良く見ると、細かなアレイが敷き詰められていることが分かる

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  • 超音波トランスデューサーのデモの様子(トランスデューサー自体は水槽の横に設置されている)。水そのものに変化がないため、パッと見分かりづらいが、計測器にはしっかりと超音波が発生して、それが集束できていることが示されているのが示されている