電子材料市場調査会社の米TECHCETは、貿易戦争が継続する現在の状況にあっても、IC向けリソグラフィ材料市場は2019年に32億ドル規模に達し、その後も成長を続け、2023年には40億ドル市場へと成長するとの予測を発表した。
32億ドルのうちわけは、フォトレジスト17億ドル、拡張材料9億ドル、補助材料5.8億ドルとなっている。
7月4日、日本政府は、先端半導体製造に欠かせないEUVリソグラフィ用レジストを含む3種類の半導体材料の韓国への輸出管理に見直しを行ったことから、2国間のサプライチェーンに亀裂が生じ、韓国の半導体メーカーは日本以外の企業から供給を受けようと交渉に追われているとTECHCETは説明している。
「193nmリソグラフィを複数回露光して製造すると工程数が増え時間がかかる。EUVリソグラフィは、7nmノードのロジックIC製造ラインでターンアラウンドタイムを短縮し、歩留まりを向上させるために韓Samsung Electronicsが最初に採用したわけだが、大量生産用のレジスト材料を新たに認定するには、通常、テストウェハを使った導入評価に何か月もかかるだけではなく、数百万ドルもの費用を要する。最近の日本政府の輸出に関する動きは、韓国の半導体製造工場の収益を確実に損なうことになる」とTECHCETのシニアテクノロジアナリストのEd Korczynski氏は説明している。
また、先端プロセス向けフォトレジストは、簡単にまねできない高度に設計された化学物質のブレンドであるため、2020年までに韓国の化学会社が現地生産を確立することはできそうにはないと同氏は指摘している。フォトレジストメーカー大手6社で、世界市場の85%以上のシェアを独占しており、そのうち5社が日本企業で、DuPont(以前のDow)だけが日本企業ではない。その結果、日本政府による日本製フォトレジストの韓国への輸出規制はDuPontに市場シェア拡大のチャンスを与えることになると同氏は見ている。