国立科学博物館(科博)は2019年3月19日より、日本館地下1階に設置されている全球型映像施設「シアター36○(シアター・サン・ロク・マル)」をリニューアルオープンさせる。

シアター36○は、地球の100万分の1の大きさのドーム(直径12.8m)に、360度全方位で映像が映し出すことで、独特の浮遊感などが味わえる映像施設。基本的に同館オリジナルの映像コンテンツを2本組み合わせる形で上映されるが、2018年9月3日より休館し、施設内のプロジェクターなどの設備の更新作業が進められていた。

今回、リニューアルに併せて、オリジナル映像として、深海調査や海洋調査などで知られる海洋研究開発機構(JAMSTEC)の協力および映像提供のもと、「深海 -潜水艇が照らす漆黒のフロンティア-」が製作され、上映が決定された。同コンテンツの制作コンセプトは、同館の展示に関連した内容を分かり易く伝え、地球環境など自然科学への興味関心を高めてもらうことを目的とし、フロンティアとなっている「深海」に焦点をあてることで、あまり知られていない地球の姿と生命の起源となりうる深海底に光を当てた人類の技術進化も感じてもらうこととしている。

また、今回の映像コンテンツの企画に携わった監修者でもある国立科学博物館地学研究部の谷健一郎氏は、「潜水艇に乗って深海底に降り立った時に味わう感動や興奮を皆さんに共有して頂くにはどうしたらいいか、ずっと考え続けてきました。その試みとして自分たちで深海用の全方位カメラを開発し、困難の末に海底の様子を撮影することに成功しました。全球施設による世界初の深海映像で実際の海底にいるような臨場感を味わうと共に、深海の驚くべき特異な生態系の一端をご覧ください」とコメントしている。

上映スケジュールは各日9:30~16:30(金曜・土曜は9:30~19:30)で、1回の上映時間は約10分で、各回の定員は60名。2019年3月時点の「深海 -潜水艇が照らす漆黒のフロンティア-」の上映スケジュールは3月、4月、7月、10月、2020年1月となっており、2019年3月の上映分は特別プログラムとして「海の食物連鎖 -太陽からクロマグロをつなぐエネルギーの流れ-」も同時上映される。

なお、映像を視聴するためには、常設展の入館料(一般・大学生は620円、高校生以下ならびに65歳以上の人は無料)が必要となる。