市場調査企業である米Gartnerが、2018年に世界で半導体を消費(購入)した企業ランキングトップ10を発表した。
それによると、トップは前年比7.5%増の434億2100万ドルの半導体を購入したSamsung Electronicsで、2年連続のトップとなった。また2位は、同7.9%増の418億8300万ドルのAppleで、この2社だけで全世界の半導体消費額の17.9%を占める規模である。ただし、前年比で見ると、比率は1.6%ほど下げている。これは、3位以下にランクインした中国のスマートフォン(スマホ)メーカーがシェアを拡大させた影響を受けた結果と考えられる。
こうした中国勢の躍進により、トップ10全体の総額に占める割合は2017年の39.4%から2018年は40.2%に増加。ランクインした中国勢の数も2017年は、Huawei、Lenovo、BBK Electronics(傘下のVivoとOPPOを含む)の3社であったものが、2018年にはこれにXiaomiが加わり、4社へと増加。中でもHuaweiは、45.2%という成長率を見せ、前年の5位から3位へと躍進した。
トップ10圏外へと落ちたソニーとLG
躍進する中国勢を背景に、トップ10から脱落したのは韓LG Electronicsとソニーの2社。替わってトップ10に入ってきたのは、上述のXiaomiのほか、米Kingston Technologyで、Xiaomiは62.8%増という成長率を達成。前年の18位から一気に10位へとランクアップを果たした。またKingstonも、サーバ向けメモリをはじめとするメモリバブルの勢いを得て、2017年の13位から8位へと躍進を果たした。
トップ10社の市場シェアが拡大している背景には、PCやスマホの市場再編が続いており、特に中国の大手スマホメーカーが競合企業の排除や買収による市場に対する影響力を高めていることが影響していると同社では見ている。こうした限られた企業による市場の寡占化が進めば、半導体ベンダ各社は、高い利益率を維持することが難しくなるのではないかとも同社では説明している。
また、メモリ価格は過去2年の間、高止まりが続いていたが、現在は下降局面となっているが、その影響は限定的だと同社は見ている。背景には、価格下落に伴う搭載容量の増加や、プレミアムモデルへの投資といった方向に進んでいくためで、半導体市場全体に占めるメモリチップの売り上げシェアは2017年の31%から、2019年に33%、2020年に34%と徐々にではあるが、拡大していく見込みだという。
なお、同社では、半導体を購入する企業の寡占化が進む中、半導体ベンダ各社のマーケティング責任者は、自社の人員の過半数を、そうした購買力を有する顧客企業に割り当てる必要があるとするほか、メモリ価格が下落したことで、浮いた予算を活用し、顧客企業に高性能なチップの採用やメモリの搭載容量の増加などを働きかけていくことが重要になると、半導体ベンダに向けた助言を行っている。すでにIC Insightsが、半導体ベンダの売上高トップ5社のシェアが全市場の47%となり、寡占化が進んでいるという報告を行っているが、今回のGartnerの発表から、半導体を購入する企業側も寡占化の傾向にあることが示されることとなったといえる。