トヨタ自動車は18日、販売店と配車サービス事業者が共通の情報プラットフォーム上でデータを共有することで、車両管理や保険、メンテナンスなど一貫性を持てる"配車サービス車両向けトータルサービス"を開発したことを発表した。サービスは、アジアの販売統括会社トヨタ・モーター・アジア・パシフィックと東南アジアの配車サービス企業Grab Holding Incが保有する1,500台の車両に提供される。
同社のコネクティッドカー向け情報プラットフォーム「MSPF(モビリティサービス・プラットフォーム)」は、2016年に米国カーシェア事業者「Getaround」社との協業を皮切りに、電力会社やカーシェアやライドシェアサービス、レンタカー事業者や通信企業、自治体などと多様な取り組みを実施。サービスの提供を行っている。配車サービス分野では、2017年にKDDI、東京ハイヤー・タクシー協会と共同で通信型のドライブレコーダー「TransLog」を用いたリアルタイムの走行画像や車両データを解析した利便性向上やドライバーサポートの向上など事業者向けの新サービスの開発、シンガポールに本社を構えるGrab社はアプリと連携する各種配車サービスを広く東南アジアで展開する企業で、今年の6月にはトヨタが10億ドルの出資を行うなど協業拡大を図っている。
今回、Grab社とトヨタ販売店とトヨタの3者がMSPFに収集された走行データを相互活用することで安全で高効率な配車サービス(配車サービス事業者)やメンテナンス(販売店)を実現するトータルケアサービスの開発を発表した。システムはGrab Holding Incが保有する1,500台の車両に提供される。
公式動画には搭載される「TransLog」からの走行データをもとに個々の車両の不調をサービスセンターを通じて知らせ、販売店でスムーズに点検や修理プロセスへと流れるシステムの様子が映されている。ひとつのデータが、不調の探知、ユーザーへの伝達、メンテナンスのすべての工程でシームレスに繋がり快適に安全を確保するものだ。多くのメソッドを含むトヨタ生産方式(Toyota Production System)の各種オペレーションへの提供にも言及しており、走行データを活用することでトラブル時の車両把握や運転挙動を踏まえたドライバーへの適切なアドバイスなどサービス全体の品質向上も期待できるようになる。
Grab社長のMing Maa(ミン・マー)氏は「トータルケアサービスをGrab車両に展開すべく、トヨタと協力することを楽しみにしています。メンテナンスにデータ分析を活用することで、ドライバーにより安全な車両を提供し、東南アジアの交通社会をより安全なものにすることができると考えています」と分析と人(ドライバー)の力で東南アジアの交通社会押し上げていくことを述べている。
また、トヨタ副社長でコネクティッドカンパニー プレジデントである友山茂樹氏は「トータルケアサービスは、配車サービス事業者のオペレーション効率の向上に貢献するとともに、ドライバーおよび利用者の皆様への、より安心、安全で高品質なモビリティサービスの提供に繋がります。この取り組みはシンガポールを皮切りに、他の東南アジア諸国、そしてグローバルでも段階的に広げていきます」とデータと活用した安全や安心、オペレーション効率化がユーザーを含む多くの人々に貢献することを述べている。
なお同社では、一般的に配車サービス車両の走行距離が一般車両に比べ5倍以上になるため、車両の状態を良好に保ち、安全を確保するには、適切なタイミングやメンテナンスが重要になるため、「車両メーカー」と「販売店」、「配車サービス事業者」の3者が密接に連携することでこの実現を目指すものであると、サービス開発の背景も述べている。