TrendForceがこのほど発表した2018年第3四半期におけるファブレスICデザインハウスランキングによると、トップ10のうち、Qualcommだけがわずかとはいえマイナス成長となることが示された。

  • 2018年第3四半期におけるファブレスICデザインハウスの売上高トップ10

    2018年第3四半期におけるファブレスICデザインハウスの売上高トップ10 (出所:TrendForce)

トップ10のうち、台湾に本社を置くICデザインハウスであるMediaTek、Novatek、Realtekの3社は、民生機器メーカーが、年末のホリデーセールスに備えてテレビやネットワーク関連半導体の在庫を積み増ししたことから業績を伸ばすことに成功。中でもMediaTekは第2四半期にマイナス成長に陥っていたが、12nmプロセス製品の投入によるコスト構造の改善や製品ミックスの調整を行うことで第3四半期には回復を遂げ、売り上げは3%増を記録した。

一方、米Qualcommの第3四半期業績は、前年同期比0.1%減となり、トップ10中、唯一のマイナス成長企業となってしまった。TrendForceのシニアアナリストであるCY Yao氏は 「Qualcommは第3四半期末までに異なる位置づけの5種類の新しいプロセッサを市場に投入した。同社のこのような幅広い製品群は出荷数の増加に貢献した。しかし、グローバルなスマートフォン市場の減速により価格が下がり、これが収益低下の主因となった」と述べている。

第3四半期に一番大きな成長率を示したのはNVIDIAであった。同社は、ゲーム、プロフェッショナル画像処理、データセンタ、車載アプリケーションなどの分野で圧倒的な強みを見せた。特に、第3四半期のデータセンタ向けIC事業では、前年同期比65.3%増と大幅な増収を達成した。

NVIDIAに次いで、2番目に高い成長率を達成したのは同じく米国のMarvell Semiconductorで、同業ファブレスである米Caviumの買収後となる第3四半期の業績は前年同期比28.2%増となり、米Xilinxを抜いて6位へランクアップした。

2018年第4四半期および2019年第1四半期を見据えると、「QualcommはRFトランシーバ部品、車載エレクトロニクス、IoTのような分野で積極的な製品戦略を引き続き展開していくだろう。しかし、世界的なスマートフォン市場の減速による損失を調整することができるかどうかはまだ分からない」とYao氏は述べている。一方、MediaTekは、昨年にスマートフォンの販売が減少したことによる影響をもろに受けたが、1年間にわたる営業および製品ポートフォリオの調整の結果、第3四半期に安定化させることに成功した。

なおNVIDIAは、ファブレスの中でもっとも高い収益成長率を達成したにもかかわらず、同社の売り上げの多くを占めるゲーム向けの販売が予想を下回ったために収益の増加が期待通りとはいかなかった。同社のゲーム向けグラフィックス事業は、第3四半期における全社売り上げの60%を占めているが、仮想通貨の採掘に対するGPUの需要の減少により、チャネル市場におけるPascal世代のミッドレンジクラスのグラフィックスカードを中心に在庫が増加。新世代のTuringアーキテクチャを搭載したGPUの販売の促進を図りたい一方で、Pascal世代の在庫一掃に時間が取られる可能性があり、収益の見通しに影響を与える可能性があるという。