OKIエンジニアリング(OEG)は10月25日、自動車の電動化の進展に伴い、車載電子機器・装置の電磁波影響を調べるEMC試験に対する需要の増加に対応することを目的に、埼玉県本庄市のカーエレクトロニクステストラボに、5つ目の電波暗室「第五車載電波暗室」を増設。2018年11月よりサービスの提供を開始することを明らかにした。

カーエレクトロニクステストラボは、2017年4月に開設された車載機器などに対する信頼性・環境試験やEMC/製品安全試験などを行なうための施設。2016年に車載機器向け電波暗室の稼働率が140%に到達。今後も需要の増加が見込まれるとの判断から、同テストラボが開設されたが、同社の柴田康典 代表取締役社長は、「(テストラボ開設後も)稼働率はフルの状態が続いており、第五車載電波暗室の設置を決めた」と、今回の設備投資の背景を説明する。

  • OEGの柴田康典 代表取締役社長

    OEGの柴田康典 代表取締役社長

実際、同社の自動車関連事業は、2011年~2017年度で年平均成長率20%で伸びてきており、2019年度も前年度比20%の成長を目指すとするなど、右肩上がりの成長が続いている。事実、自動車の電動化も急速に進展しており、ADASや自動運転支援などのほか、サイドミラーの電子化など、これまでになかった部分もエレクトロニクス化されるようになってきており、こうした電子部品の設計はもとより、実際に自動車に用いるための安全性や信頼性の評価などに対する需要は今後、ますます高まっていくと見られ、そうした判断から、今回の取り組みにつながったといえる。

  • OEGの売上高推移

    OEGの売上高推移。自動車分野は特に高い伸びを示している

また同氏は、「今後もOEGとしても、新たな設備の導入、新たなサービスの開発、人員の拡充などを図っていくことで、年率20%の成長率を維持していく」と成長に向けた方策を示すほか、「売り上げの15-20%を設備投資に充てていくる」とし、電気自動車の普及に伴うモーターへの対応強化や、マイルドハイブリッドと呼ばれる48Vのような高電圧・大電流化ニーズへの対応、さまざまな機能が集積されることによる大型化したユニットに対する試験ニーズ、リチウムイオン電池解析、次世代パワー半導体への対応など、次世代自動車に求められるさまざまな素材や部品、技術への対応を進めていきたいとしている。

  • 自動車の電動化の動き

    自動車の電動化(エレクトロニクス化)により、電子部品の信頼性向上がより求められるようになってきた

そのため、同社はこれまでの設備投資では、電波暗室を2室ずつ増やしてきたが、今回は、そうした次世代への対応も見据えた上で、電波暗室の増設を1室だけにしたという。「テストラボ内のスペースにはまだ余裕があるほか、暗室の設置だけであれば3ヶ月程度でできることもあり、市場の動きや顧客の要望などを聞きながら、他社に先駆けて、そうした新たなニーズに対応できる体制を整えることで、成長を目指す」と、同氏も社内で2室にするべきか1室にするべきか議論が交わされたとしつつも、最終的には自動車業界を取り巻く環境の変化を見極めつつ対応を図っていくという方向性に落ち着いたとする。

  • 投資の継続により成長を目指す

    継続してさまざまな機能の拡充を図っていくことで、さらなる成長を目指す

なお、同社は電波暗室以外の機能拡充も着々と進めており、2018年12月にはECUなどの車載機器の開発品の増加に対応することを目的に、耐水試験エリアの拡張を終える予定だとしている。

  • 電子部品・電装品の解析例
  • 電子部品・電装品の解析例
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  • 電子部品・電装品の解析例
  • 電子部品・電装品の解析例
  • 電子部品・電装品の解析例
  • OEGによる電子部品・電装品の解析例