スウェーデンのカロリンスカ研究所は10月1日(現地時間)、2018年のノーベル医学・生理学賞を、京都大学 高等研究院の本庶佑 特別教授ならびに米テキサス州立大学のJames P. Allison(ジェームズ・アリソン)博士に授与すると発表した。がん治療の第4の手法として期待されている免疫療法を確立した功績が評価された。
がん治療には、抗がん剤による薬物療法、手術治療、放射線治療に大きく分けられるが、本庶博士やアリソン博士は、免疫細胞の攻撃からがん細胞が普通の細胞のふりをして逃れる仕組みを解明。これが、免疫細胞が騙されることなく、がん細胞を攻撃できる仕組みを可能とするがん免疫治療薬「オプジーボ」の開発につながった。
本庶博士は、1992年に活性化したT細胞の働きを抑える「PD-1」分子の遺伝子を発見。以降、それとPD-L1分子が結合することで、がん細胞が健康な細胞のふりをして、攻撃から逃れることなどを発見。一方のアリソン博士は、1995年に「CTLA-4」分子がT細胞と結合することで、活性化が抑えられることを発見。いずれの成果も、免疫細胞の活動の抑制を防ぐもので、両氏の成果をもとに、オプジーボをはじめとするいくつかのがん治療薬が生み出されている。
日本人のノーベル医学・生理学賞の受賞は2016年の大隅良典氏に続き5人目となる。
なお、授賞式は12月10日にスウェーデンのストックホルムで開催され、受賞者には賞金として900万スウェーデンクローネが贈られる。