日本マイクロソフトは9月4日、自社のヘルスケア分野に向けた取り組みに関する説明会を開催。日本の医療・製薬業界のクラウド化を推進することを目的に、2018年10月1日付けで「デジタルヘルス推進室」を設置することを明らかにした。

2005年にヘルスケア準備室を立ち上げて以降、同社は日本の医療分野などにソリューションの提供を行なってきており、国内の製薬企業でのAzureの利用率は100%(利用形態問わず)、国内医療機関でのWindows ServerもしくはSQL Serverの利用割合は99%と、非常に浸透しているといえる。

しかし、IoTの活用によるバイタルデータの収集や、AIによる診断支援などが可能となってきた昨今、ヘルスケア領域におけるデジタルトランスフォーメーションを検討する必要が生じており、同社としても、医療機関における4つのシナリオ(患者との関わり、チーム対応力強化、臨床および運用の有効性最適化、ケア全体の変革)を掲げ、それらを医療機関が実現していくのに、どう支援していけるのかという視点でのソリューション提供を進める必要がでてきたという。

  • 日本マイクロソフトが掲げるヘルスケア分野におけるデジタルトランスフォーメーションのシナリオ

    日本マイクロソフトが掲げるヘルスケア分野におけるデジタルトランスフォーメーションのシナリオ

そこで同社は、「ヘルスケア"ワークスタイル イノベーション"」、「ヘルスケア"アドバンスト テクノロジ"」、「ヘルスケア"セキュア クラウド"」の3つで構成される「ヘルスケアクラウド」をソリューションとして提供することで、こうした変革に対応しようとしている。それを推進するのがデジタルヘルス推進室であり、単にソリューションを提供する、というだけではなく、医療機関などが抱える課題に対し、医療機関/製薬企業/医療機器・医療関連サービス企業/公的機関/関係団体/関係学会ならびにパートナー企業などと連携することで、横断的な課題解決に向けたソリューションづくりを進めていくとしている。

  • ヘルスケアクラウドの概要

    マイクロソフトの提供するヘルスケアクラウドの概要

また、海外ではすでにAIを用いた診断支援や、MR(HoloLens)を用いた医師の教育などが進められており、そうしたグローバルで進められている最新技術や先進事例を集約し、日本にマッチした形で展開することなども考えていくとする。

  • 国内外におけるAIやMRの活用事例
  • 国内外におけるAIやMRの活用事例
  • 国内外におけるAIやMRの活用事例
  • 国内外におけるAIやMRの活用事例

こうした取り組みを中心に、同社では医療の質の向上や患者との係わり合いの改善を進めていけるように医療機関と連携していくことで、ヘルスケアクラウドの普及促進を図って行きたいとしており、今後3年間で、現在のヘルスケアビジネスに占めるクラウドの割合(4割)から、7割へと比率を拡大。それに伴い、ヘルスケアビジネス全体の事業拡大を進めていくことで、3年後の事業規模を、現在の1.5倍にまで拡大していきたいとしている。