学術機関以外での活用も見据えた製品展開

ディプラーニングのプロセスは学習前にニューラルネットワークのモデルを作成した上でデータを学習させた後に学習モデルを構築し、そのモデルを利用して推論させる。同製品は、統合的なAIソリューションであり、作成したデータを学習させるフェーズに適し、ユースケースとしては、外観検査、自動翻訳、人物検出、HPCを想定しているという。

  • 赤枠が「HPE Apollo 6500 Gen10 System」の適用フェーズ

    赤枠が「HPE Apollo 6500 Gen10 System」の適用フェーズ

  • 「HPE Apollo 6500 Gen10 System」のユースケース

    「HPE Apollo 6500 Gen10 System」のユースケース

これまで、HPE ProLiant XL270d Gen9サーバをベースにしたHPE Apollo Gen9 Systemは主に学術機関での導入が顕著だったが、大規模計算のニーズは学術研究機関内外で拡大傾向しているという。これは、SNSから吐き出されたビッグデータを解析し、マーケティングに活用するなど、新しい計算リソースが必要になっているからだ。

高橋氏は「GPUを使用したプラットフォームは、さまざまな領域でAIを活用している側面と今後AIの必要性を認識する企業が関心を寄せている。これらに対するNVIDIAのアプローチはAIに特化したGPUを製品化するという点で優れている。一般企業でもGPUを使用したプラットフォームが欲しいというニーズは確実に増えている」との認識を示す。

  • 日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 カテゴリーマネージャーの高橋健氏

現状で、引き合いが多いユースケースとしては製造業だという。生産ラインにカメラを設置し、不良品を自動的に検出するなど、先日発表したコンバージドエッジシステム「HPE Edgeline」と組み合わせたソリューションを展開していく。一例としては、NTTコムウェアと共同で開発した産業用エッジ向け画像認識AIソリューション「Deeptector」が挙げられる。

また、金融業界はAIではなく、証券会社におけるリスク計算でGPUが活用されているほか、サービスプロバイダ、公共研究機関などから引き合いがあるという。

そして同氏は「学術研究機関に対するGPUコンピューティングの知見は多くあり、使い方のナレッジを持っているため、これらをベースにエンタープライズにおけるAI活用を支援していく。AI向けのハードウェアプラットフォームはHPE Apollo 6500 Gen10 Systemをベースに今後もアップデートする」と、説く。

市場のリーダーとしてあり続けるために

今後、同社ではHPC/AI市場のリーダーとしてあり続けるため、Horizon1~3のアプローチを軸に据える。

Horizon 1(同6カ月~1年)では公共機関や金融機関、ライフサイエンス、石油・天然ガスをはじめとしたエネルギー関連といった各インダストリーに最適なソリューションの展開、Horizon 2(同1年~2年)はディープラーニング単体の研究、HPC・AIのストレージソリューションなどの研究開発、Horizon 3(次の2~4年)では投資活動として、宇宙にスパーコンピューターを打ち上げるなど研究開発投資やエクサスケールプロジェクトなどに取り組み、1~3を同時並行的に進めていくという。

  • HPEの戦略の概要

    HPEの戦略の概要

これからも膨張し続けるデータを分析し、いかにビジネスに結び付けて“付加価値”を生み出すかは企業次第だ。だからこそ、データから見出せる気付きは多くあり、HPE Apollo 6500 Gen10 Systemは、そんな手助けをしてくれる1つの解なのかもしれない。