企業では、働き方改革への取り組みと相まって、業務の自動化を実現する「RPA(Robotic Process Automation)」の導入が進んでいる。これに伴い、さまざまなRPAベンダーが日本市場に参入を始めているが、その1社が英国Blue Prismだ。

今回、CEOを務めるアレスター・バスゲート氏と日本オフィスのPresident を務めるポール・ワッツ氏に、RPA市場の動向、同社の製品の強み、日本におけるビジネスについて話を聞いた。

RPAのスケール拡大が必要とされている日本

バスゲート氏は、日本のRPA市場について、「労働人口が社会問題となっている日本は世界においてユニークな存在。それゆえ、RPAの導入は他国よりも進んでいる」としたうえで、「フェーズ1からフェーズ2に移行している状況」と分析する。

  • 英国Blue Prism CEO アレスター・バスゲート氏

日本ではこれまで、生産性の向上や働き方改革の一環として、RPAによって業務の自動化を図ることで、残業の削減などに取り組んでいた。しかし現在、もっとRPAをスケールしなければならない状況が生まれているという。

バスゲート氏は、RPA導入の過程を、「自動化の導入」のフェーズ1、「スケールアップ」のフェーズ2、「広範な業務の生産性向上を実現」のフェーズ3に分類してみせた。今、フェーズ2に移行しようとしている日本企業のサポートを強化するため、投資しているそうだ。

そして、他社のRPA製品利用に問題を感じている企業との商談が持ち上がることがあるが、「それは、ツールが機能していないのではなく、そういう使い方をするデザインになっているから。パソコンにエージェントを導入するタイプのツールでは、何千何万というロボットが必要になってくると、物足りなくなってくる」と、バスゲート氏は話す。

主要パブリッククラウド連携してRPAとAIを統合

先に、「パソコンにエージェントを導入するタイプのツール」と述べたが、RPAはPCで利用する「デスクトップ型」とサーバを利用する「サーバ型」の2種類がある。Blue Prismが提供するのはサーバ型のRPA製品だ。

バスゲート氏は、同社製品の強みとして、「スケーラビリティの高さ」「完全な自動化」「パブリッククラウドとの連携で実現するRPAとAIの統合」を挙げる。

スケーラビリティの高さは、サーバ型RPAの共通の長所だ。Blue Prismは、分散型ソフトウェアロボットを利用していることから、スケーラビリティに優れているほか、オンプレミスとクラウドの双方にプロビジョニングできる。また、グリッドベースのアーキテクチャによって、フェイルオーバー、災害復旧の仕組みを構築できる。

また、マイクロソフトのアクティブディレクトリと統合することで、ユーザーアクセス管理を他のアプリケーションにそろえることができるほか、ソフトウェアの認証情報を用いることで、パスワードをどの管理者も知り得ないユーザーの完全に個人的な情報とする。

自動化については、画像認識やサードパーティアプリケーションのフォームのレイアウト変更の自動処理といった先進技術をサポートしており、ターミナル・エミュレータ、シンクライアント、Webアプリケーションなど、利用形態にかかわらず、さまざまなアプリケーションを自動化する機能を提供している。

バスゲート氏は「デスクトップ型では、スクリプトを動かすために、人間がPC上でマクロのボタンを押さなければならない。サーバ型のわれわれの製品は、フロントとバックエンドの環境を分けており、サーバに自動化の環境を置いて自動化を行うため、人間が介在する必要がない。RPAをデジタルワーカーとして人間の代わりにすることができる」と、サーバ型の自動化のアドバンテージをアピールする。

もう1つの長所が、AWS、Google Cloud、IBM Watson、Microsoft Cognitive Servicesといったパブリッククラウドと連携して、AIとRPAを統合できることだ。具体的には、RESTful APIを経由して、各パブリッククラウドが提供している自然言語処理、翻訳、画像認識といったAI技術を利用することができる。

バスゲート氏は、「Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud Platform、IBM Cloud向けの認証済みリファレンス アーキテクチャを提供するRPAベンダーはわれわれだけ」と話す。

目標は大きく、失敗を恐れずに取り組もう

ワッツ氏は、昨年に30社の顧客を得たことを明かしたうえで、「現在の顧客も含めて、日本の企業が成功してもらえるよう、力を入れていく」と語る。本稿執筆時点でDeNA、住友商事、第一生命保険、ふくおかフィナンシャルグループにおいて、同社製品が導入されている。

  • Blue Prism President ポール・ワッツ氏

ただし、ワッツ氏は「顧客数が勝負ではない。エンタープライズの環境において、安定した稼働を実現することが重要」と話す。

同社の製品が選ばれる決め手としては、「アーキテクチャ」「デザイン」「スケーラビリティ」「制御の高さ」があるという。先述した、同社製品の長所とも重なる。

またバスゲート氏は、「われわれは複雑なローカライズを行っていないから、サポートがしやすい」と語る。

ワッツ氏は、RPAを効果的に導入する上で、デジタルワークフォースの戦略が重要と指摘する。そして、「Think Big, Start Small, Scale Quickly」とアドバイスする。これは、日本の顧客も言っていることだという。「日本人は細かなところまでやりすぎる傾向があるが、失敗を恐れず進んでいただきたい」とワッツ氏。

バスゲート氏は、「労働力の選択肢として、『人を雇う』『海外へのアウトソーシング』があるが、3つ目の選択肢としてデジタルワークフォースを提供していきたい」と語る。

さまざまなRPA製品を選択することが可能になった今、どの製品を使うべきか迷っている企業もあるだろう。Blue Prismの場合、パブリッククラウドとの連携は大きな特徴と言えるだろう。自社の目的と各社の特徴を照らしあわせて、効率のよい業務の自動化を進めていただければと思う。