テストおよび製造のエンジニアは、仕事を迅速かつ効率的に行うためにソフトウェアにますます依存しています。 しかし、Aspencore(旧UBM)が2015年に実施したテストと計測に関する調査によると、テストエンジニアの半数が、インタフェース/ユーザビリティの改善を現代のテスト装置において最も改善が必要とされる特性の具体例として挙げています。

機器ベンダは、作業を容易化することを目的にソフトウェアアプリケーションに投資してきました。しかし、その結果として、テストシステムの構築、デプロイメント、保守のソフトウェアワークフロー全体の相互運用性に欠けたソフトウェアツールが数多く生まれました。ツールは、製品開発の全段階における相互運用性を考慮して設計する必要があります。そうでなければ、統合性の確保という作業が負担になる可能性があります。相互運用性の問題に取り組む時間は実際のビジネス課題を解決して製品を開発することと比較し重要性が低いと言えます。

厳しい納期に効率よく対応するには、一般的なタスクの簡素化やコードの再利用を可能にするためのソフトウェアによる抽象化だけでなく、適切な段階で下位レベルの制御を行い、各テストに適した詳細なカスタマイズを実施することが必要です。しかし、これら両方の機能を完璧に提供できる単一のソフトウェアはありません。 したがって、エンジニアリング設計の可能性を最大限に引き出すには、その両方を提供できる相互運用可能なソフトウェアプラットフォームを採用する必要があります。

過去40年にわたり、テストと製造のエンジニアは、モジュール式ハードウェアと広範なエコシステムを活用するために独自に設計されたNational Instruments(NI)のオープンなソフトウェア中心のプラットフォームを利用して生産性を高めてきました。ソフトウェアによってハードウェアを再構成することで、エンジニアはテストシステムの柔軟性を高め、アイデアをすばやく実現させてきました。 最新バージョンのLabVIEW NXGと最近のSystemLinkの導入により、 NIはテストワークフロー全体で開発を加速し、効率性を高める能力を強化しています。

NIが先駆けて開発した「Software-Designed Instrument(ソフトウェア設計型計測器)」のパラダイムを活用するベンダが増えてきていますが、エンジニアは大量の異種ソフトウェアツールを組み合わせることに苦労しています。NIは、FPGAのI/Oピンからリモートテストシステム管理にいたるまで、幅広いソフトウェアポートフォリオを取り扱う唯一のベンダとして、テストシステムを構築するためのワークフローに革命を起こしています。

  • NIのソフトウェアツールは、テストシステムの構築、実装、保守のワークフロー全体で相互運用が可能

    図1 NIのソフトウェアツールは、テストシステムの構築、実装、保守のワークフロー全体で相互運用が可能

テストシステムの設計と調達

厳しいリリーススケジュールおよびプロジェクトタイムラインが当然とされる業界においては、新しいテストシステムの初期設計段階への取り組みは、将来的にも成功を見込める方法で賢明に行うことが必要とされます。ハードウェアを新規プロジェクトに用いるとなると、決定すべき事項は膨大な数に膨れ上がります。機器、ケーブル、コネクタ、スイッチトポロジ、マスインターコネクト、ラックレイアウト、パワーバジェット、サーマルプロファイリングなど、挙げ始めたらきりがありません。そして、機器の品質を保証するためにハードウェアに関する事項をすべて決定した後、最も回避しなければならないのは、ソフトウェアが生産性のボトルネックになることです。 NIインストールサービスでは、初期システム設定を簡素化するために、適切なソフトウェア環境と必要なハードウェアドライバを新しいコントローラにインストールしています。 こうすることで、貴重な時間をドライバのインストールではなく、テスト要件を検討するために費やすことができます。

設定の構成と検証

エンジニアリングシステムは、個別のソフトウェア機能を備えた、複数のベンダの計測器で構成されることが多々あります。 特に、各ベンダ製品の使い方に一貫性がない場合、サブメニュー構成の情報を探すためにユーザマニュアルを読みあさったり、デバイスドライバの最新バージョンをWeb上で探し回ったりすることに大変な労力を使うことになります。ソフトウェアで開発されたアプリケーションは、ハードウェアのセットアップと密接に結びついているため、ユーザは、この基本的な関係が簡素化され、明快で一貫した管理ソリューションを求めています。NIは、LabVIEW NXGの最新バージョンを通じて、物理的なシステムを視覚的に構成する、SystemDesignerという新しいグラフィカルキャンバスを導入することで、ハードウェア構成、診断、システムのドキュメント化をLabVIEW NXG環境に組み込みます。これにより、ソフトウェア開発の最初から最後までハードウェアを一括して管理できるため、開発の生産性を最大限に高めることができます。特定のNIまたは他社製のドライバがインストールされていない場合、SystemDesignerは、業界標準のパッケージ形式を採用し構築された新しいインタフェースであるNIパッケージマネージャを通して、必要なドライバのインストールを案内します。

  • LabVIEW NXGを使用すると、ソフトウェア開発と同時に、ハードウェア管理やシステムのドキュメント化が可能

    図2 LabVIEW NXGを使用すると、ソフトウェア開発と同時に、ハードウェア管理やシステムのドキュメント化が可能

初期セットアップを完了した後の作業は、さらに複雑化します。つまり、使用している製品が設計要件をすべて満たしていることを検証する必要があります。テスト開発プロセス全体を通じて、信号接続の初期テストとデバッグ、計測確度の検証を行うには、DMMの読み取りやオシロスコープなどの対話式計測にすばやくアクセスできることが不可欠です。SystemDesignerからNIモジュール式計測器のソフトフロントパネルを起動すれば、ハードウェアを対話式で監視および制御できます。特定の機器は、PCとの直接接続を利用して、波形やデバイス固有の構成のロードや保存を行い、より便利にデバッグを実行できます。しかしながら、人的ミスを最小限に抑え、一貫性を確保し、市場投入までの時間を短縮するためには、検証プロセスの大部分を自動化する必要があります。

機器の自動化

多くの場合、設計用の初期回路基板を検証する際には、特定のテストを反復する必要があります。同じテストを手動で繰り返し実行するのは面倒であり、何よりビジネスの観点から非効率的です。研究開発部門の基本的目標が、もれなく設計を検証し、検証済みの設計を迅速に製造部門へ渡すことであるなら、要件やエンジニアリング設計の調整に貴重な時間を費やし、ロジスティックタスクを自動化することが賢明です。この考え方を採用した場合、主な障壁となるのはテストの作成です。ハードウェアとテストエンジニアチーム間でのプログラミング経験が大きく異なることがその原因です。ここで重要なのは、選択したソフトウェアのセマンティクスとプログラミング構造に由来する負担を感じず、専門知識を活用出来るかどうかです。

LabVIEW NXGでは、グラフィカルなアプローチによるプログラミングが可能です。機能ブロックをつなぎ合わせてアプリケーションのロジックを構築することで、思い通りのプログラミングが実現します。さらに、ユーザインタフェース(UI)の設計は、ドラッグ&ドロップ方式で最適化されているため、テストコード用のプロフェッショナルなUIを直感的に作成できます。LabVIEW NXGの最新バージョンでは、このような機能をデスクトップからWebへと拡張しています。そのため、Webプログラミングの経験がなくても、プラグインやインストーラなしで最新のWebブラウザ上でテストコードを実行できるWebベースのUIを設計してデプロイできます。LabVIEW NXG Web Moduleのこの新機能により、さまざまなデバイスやオペレーティングシステム間でテストの監視や制御をリモートで行ったり、同僚と情報を共有したりすることができます。これは長期間にわたるテストにおいて特に有益です。

  • LabVIEW NXG Web Moduleを使用すると、プラグインやインストーラなしで最新のWebブラウザでテストコードを実行できるWebベースのUIを設計してデプロイできる

    図3 LabVIEW NXG Web Moduleを使用すると、プラグインやインストーラなしで最新のWebブラウザでテストコードを実行できるWebベースのUIを設計してデプロイできる