ラピスセミコンダクタは、ウェアラブル機器向けに、世界最小ワイヤレス給電制御チップセット「ML7630(受電・端末側)」、「ML7631(送電・充電器側)」を開発したことを発表した。

  • 製品写真

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近年、新世代のウェアラブル機器として、耳につける「ヒアラブル機器」が注目されているが、超小型であるためにMicroUSBコネクタなど給電用の端子が小型化や省スペース化の大きな課題となっている。

このチップセットは、ウェアラブル機器の中でも特に実装スペースに制約のある Bluetoothヘッドセットなど、ヒアラブル機器のワイヤレス給電に適したワイヤレス給電制御LSI。ヒアラブル機器に対応するため、13.56MHzの高周波数帯で電力伝送を行いアンテナ(コイル)を小型にすると同時に、送受電に必要な機能を1チップに統合し、SoC(システムオンチップ)としたことで、実装スペースの削減(対MicroUSBコネクタとの面積比で 50%減)を可能にしている。これまで困難であったヒアラブル機器でのワイヤレス給電を実現し、機器の小型化はもちろん、充電利便性、防水性・防塵性の 向上に貢献する。

  • ヒアラブル機器への応用イメージ

    ヒアラブル機器への応用イメージ

受電側の「ML7630」は、アンテナの磁界から電力を生成しバッテリが空になっても動作を開始することが可能。200mW出力までのワイヤレス給電を2.6mm角の小型WL-CSPパッケージで実現しているのに加え、NFC Forum Type3 Tag v1.0 機能も搭載し、NFCタッチによるBluetoothのペアリングなどをサポートしている。一方、送電側の「ML7631」 は、モバイルバッテリなどUSB電源から供給される5Vで動作できるため、充電器のモバイル化に貢献する。]

MicroUSBコネクタ給電部の占有面積と比べ、面積比50%

MicroUSBコネクタ給電部の占有面積と比べ、面積比50%

なお、同チップセットは現在サンプル出荷中で、量産開始は5月を予定している。生産拠点は、前工程がラピスセミコ ンダクタ宮城(宮城県)、後工程は「ML7630」がラピスセミコンダクタ宮崎(宮崎県)、「ML7631」が ROHM Integrated Systems(タイ)。価格はどちらも700 円/個(税別)。

このほか、同チップセットには、簡単にワイヤレス給電の評価を開始できる「ML763x」評価キットが用意されている。加えて、ユーザ個別の設定がPCから可能なコンフィグレーションツール、アンテナサポートに関するドキュメントが用意され、さまざまな充電スタイルに対応する。