大分大学は、再生可能エネルギー利用に適した温和な条件で、高いアンモニア合成活性を示す新規触媒として、ランタンとセリウムの複合希土類酸化物を還元した担体に、ルテニウムを担持した酸化物担持型触媒を開発したと発表した。

  • 開発した「Ru/La0.5Ce0.5O1.75-x」触媒の模式図(出所:大分大学Webサイト)

同成果は、大分大学理工学部の小倉優太 博士研究員、佐藤勝俊 客員研究員(京都大学触媒・電池元素戦略研究拠点 特定助教)、永岡勝俊 准教授らの研究グループによるもの。詳細は英国の学術誌「Chemical Science」のオンライン版に掲載された。

アンモニアは化学肥料の原料として重要な化学物質であり、近年は再生可能エネルギーの貯蔵・輸送を担うエネルギーキャリアとしても注目されている。従来の鉄触媒を用いたアンモニア合成プロセスは大型のプロセスであり、非常に高い圧力と温度下で反応が行われている。

これに対して再生可能エネルギーを利用した小型の分散型プロセスではオンデマンドでアンモニアを製造する必要があり、温和で利便性に富む条件(325-400度、10-100気圧)でアンモニアを得ることができる高性能な触媒の開発が求められていた。

研究グループでは、再生可能エネルギー利用に適した条件で、生成速度換算で従来型酸化物担持ルテニウム触媒の約2倍という、高いアンモニア合成活性を示し、高効率でアンモニアを得ることができる「Ru/La0.5Ce0.5O1.75-x」を開発することに成功した。

また、ルテニウムが2nm以下のナノ粒子として担持されていること、還元された担体がルテニウムナノ粒子の一部を覆っていること、という2つの特徴が相乗的に作用することで、高いアンモニア合成活性が実現されていることを明らかにした。

今回の成果を受けて研究グループは、今回開発した触媒は簡単に大気中で調製でき、取り扱いも容易なため、再生可能エネルギー利用アンモニア生産プロセスの実現が望まれているとする。加えて、今回の触媒設計を応用することで、さらに高活性なアンモニア合成触媒が創製できると期待できるとしている。