Cloud AutoMLは画像認識機能のVision以外にも提供を予定しており、今回はあくまで第1弾。そのためVisionも、現時点でα版の限定公開と、チューニング途上にある。ただ、アメリカではディズニーがWebサイトにおけるレコメンデーションにCloud AutoML Visionを採用。ディズニーのキャラクターや製品カテゴリ、色といった属性を製品ごとに関連付け、整理するのに利用しているという。

  • 米国の事例。URBAN OUTFITTERSはディズニーと同様の活用例、ZSLは動物保護の慈善団体で、自動で撮影された野生生物のグループ化に利用する

一方で高性能なものの、機械学習のテクノロジー自体はまだまだ発展途上だ。前述のGoogleフォトでは、2015年のサービスがスタートした際に、黒人ユーザーがアップロードした写真をグループ化したところ「ゴリラ」とタグ付けされた問題が生じた。その後、Googleは謝罪して問題を解消するとBBCにコメントしていた。

ただしこの問題の解決方法は「犬」や「猫」といったグループ化のような「ゴリラ」というキーワードを省くもの。ゴリラ以外にも人間以外の霊長類をすべて省いたことで誤認識問題を解消したのだが、2年強が経った2018年1月時点でも、これらのキーワードを排除していることが話題となった

もちろん、これは一例であって、企業が活用する上で「小さいデータセット、リソースでビジネスに活用できるのがAutoML」と大薮氏は話す。

これまでは場合によって数千~1万個のデータセットを用意し、さらに数百万円以上の多額のコストをかけて外注してシステムを構築していた。これに対してAutoML Visionでは、小規模なデータセット+ストレージ&サービス利用料というスモールスタートで済む。自社サービスに応用できるレベルにあるのか、気軽に「お試し」できるのがこのサービスの最大の魅力だ。

大薮氏は「ITエンジニアの総数は全世界で2100万人いるものの、データサイエンティストは100万人、ディープラーニングにいたってはさらに少ない」と話すが、その数少ない専門家の"コピー"のような存在をいかに早く使い倒すかが、遠くない将来に企業競争力の差として現れそうだ。