キャンペーンキャラクターの比嘉愛未さん。手に持つPCは「Let's note SV7シリーズ」

「Let's noteじゃなくていい」というタイトルを裏切る形になるが、パナソニックは2016年度に32万台のレッツノートを販売し、現時点で2017年度の販売見通しは40万台と「21年目にして最高記録だ」とパナソニック コネクティッドソリューションズ社 常務 モバイルソリューションズ事業部 事業部長の坂元 寛明氏は話す。

好調な事業環境を背景に浮かれ気分なのか……というとそうではない。

この日、パナソニックはレッツノートの新製品「Let's note SV7シリーズ」を発表した。最新の第8世代インテル Core vProプロセッサーを採用し、クアッドコアによる高性能化を達成しながらも、レッツ最大のウリとなる堅牢性を維持し、光学ドライブ、Thunderbolt 3を搭載。それでいて1kg切りとなる重量999gを達成した渾身の自信作だ。

では、何が「レッツじゃなくていい」のか。

レッツ限定と他社製PC OKの使い分けも

それが、新製品に合わせて発表した「働き方改革支援サービス」だ。このサービスでは、社員一人ひとりの働き方を可視化することで、従業員自身が働き方を見つめ直して意識を変えることを目指す。具体的には、これまで提供してきた「HDD/SSD遠隔データ消去サービス」に加え、「ストレスチェックサービス」と「ソフトウェア型VPNサービス」「可視化サービス」を提供する。

ストレスチェックサービスはパナソニックが開発した「非接触バイタルセンシング」技術を活用し、PCのフロントカメラで捉えた顔画像からリアルタイムで脈拍数を測定。脈拍の変動からストレスレベルを推定して、社員のストレスレベルをチェックする。また、HDD/SSD遠隔データ消去サービスでは、ワイヤレスWANモデルの場合にリモートで電源をオンにしてPCデータの消去を可能にする。いずれもハードウェアレベルでのチューニングが必要なこともあり、レッツノート限定の機能となる。

  • デモ環境ではバイタルチェックの様子をグラフで可視化。顔面の血管を読み取り、利用者の脈拍によってストレスレベルを推定する

一方で「レッツじゃなくていい」機能はソフトウェア型VPNサービスと可視化サービスだ。企業のプライベートクラウドに接続したり、各種機密データを公衆無線LANなどでやり取りする場合にVPNを活用する事例が増えている。また、一部海外ではクラウドサービスへの接続ができないケースもあるため、VPNは必需サービスとも言える。

こうしたニーズに対して、米ネットモーションソフトウェアが開発したモバイルVPN「NetMotion Mobility」を使用したクラウドサービスとして、パナソニックが提供する。クラウドのVPNサーバーはパナソニック自身がシステム運用しており、独自の技術を活用してニーズの高いビデオ会議ソリューションの動画品質を保つという。

そしてパナソニックが一番の目玉とするのが「可視化サービス」だ。これまでにもPCのログ取得サービスはさまざま存在するが、パナソニックはログイン・ログアウトに加えてキーボードやマウス操作の時間、利用アプリの可視化を行った。これらのデータは円グラフや積み上げグラフ、時間軸などさまざまなグラフで表示。働きすぎていないか、働きの質が偏っていないかなど、定量的評価の判断が可能となる。

可視化サービスは"意識改革"

パナソニック コネクティッドソリューションズ社 モバイルソリューションズ事業部 マーケティングセンター 営業企画部 部長の西谷 裕之氏は、働き方改革の本質は個人の生産性を向上させることであり、生産性の向上には「意識を変える必要がある」と話す。

「『意識』を取り巻く形で仕事がある。しかし、非主体業務時間と主体業務時間の切り分けや割合は自分自身で判断が難しい。意識を変えるには"可視化"が必要であり、これはダイエットに似ている。自身の体重の変動などを意識して減らすように、自分がどんな仕事をしているのか可視化すれば意識は変えられる。意識が変えられれば、非主体業務を減らせ、生産性の向上につながる」(西谷氏)

可視化サービスは、社員を管理するための労務管理ソリューションにも見えるが、パナソニックとしてはあくまで意識改革のためのツールだと話す。実際、平均的な社員がどういう働き方、アプリの利用傾向があるのかを見られるようにすることで、本人の意識の変容を促す。もちろん管理ソリューションとしても利用でき、例えばプロジェクト単位で使用するアプリのカテゴリ分けを行い、削減すべき業務、集中すべき業務のよりわけなどが可能になるという。

昨夏の段階でさまざまな業種・業態の企業に同サービスを打診したところ、100社超の企業が導入を検討。PC1台あたりの利用価格は月額1500円程度で、デスクトップ混在の環境も踏まえての一括導入を目指すべく「レッツじゃなくていい」を実現した。2015年に総務省が調査したテレワーク導入率は16.2%であり、そうした企業を中心に4年で累計20万台の導入をめざすという。単純計算でレッツノートの今季販売見通しが継続するとして、1/8の企業が導入する計算だ。テレワーク導入率ともほぼ合致する。これをさらに上向きにさせるためには「レッツじゃなくていい」ということなのだろう。