電通ライブとバスキュールは1月19日、従来の視覚に依存する拡張現実(AR)に対して、聴覚に依拠した拡張現実を「音声AR」と定義し、その体験システム「音声ARシステム」を共同開発したと発表した。
音声ARとは、スマートフォンやタブレットなどで動作する専用アプリケーションのバックエンドシステムの総称。「現実世界に新たな音声情報を付与する」をコンセプトにGPSやBeaconなどの技術を用いて位置情報を検知し、任意の特定条件を満たしている使用者に対して、自動的かつリアルタイムに音声情報や音声情報と連動したデバイス画面演出を提供する。
同システムでは、ユーザーの使用言語やプロフィールなど静的情報に基づいたカスタマイズはもちろん、NFC・ジャイロセンサー・コンパス・加速度センサーなど、ユーザーのリアルタイムなアクションや会場全体の動向に対応した動的カスタマイズも可能にする。自動的にパーソナライズされた情報を複数人に対して同時配信することで、人々に新しいライブエンターテインメントを提供していくという。
また、バックエンドシステムとしては、使用者一人ひとりの行動ログをリアルタイムに管理・集約することができるため、混雑状況などのヒートマップ化や動線可視化、個別エリアにおける滞在時間把握などが可能になる。現実世界に新たな音のレイヤーを重ねることで、豊かなユーザー体験を提供するとともに、これまでブラックボックスになっていたイベント・スペース領域のデータ管理・分析を実現するという。
なお、同システムは2018年1月22日から2月28日まで森アーツセンターギャラリーにて開催される「FINAL FANTASY 30th ANNIVERSARY EXHIBITION - 別れの物語展 -」で導入が開始される。
同展では、Beaconを介して展示物とスマートフォンをベースにした音声システムを連動させることで、展示物の前に立つと装着したヘッドフォンからそれぞれとシンクロしたゲームBGMやキャラクターボイス、来場者の行動や属性に応じてパーソナライズされたナビゲーションが自動的に聴こえてくるという体験が可能だ。