京都大学は、同大の研究グループが、IoT時代を目指した100万チャネル以上の超多重化を可能とする通信方式を提案し、その実現性を明らかにしたことを発表した。

この成果は、京都大学情報学研究科の梅野健教授、中澤勇夫氏らの研究グループによるもので、2017年12月1日に電子情報通信学会発行の「IEICE Communications Express」に掲載された。

  • 既周期周波数配置を用いた100万チャネル以上の5G通信方式を提案(出所:京大ニュースリリース)

    5Gの四面体構造と今回の研究成果の提案部分(出所:京大ニュースリリース)

IoT時代の本格突入に備え、1km2あたり100万個のデバイスの通信を可能とする5G方式の模索が始まっている。通信量の増大に対応するべく、センサ同士の通信や中継方式が様々に提案されており、世界各国から国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)の要求を満たす方式の提案が始まっている。日本では、電波産業会(ARIB)高度無線通信研究委員会標準化部会無線インターフェース提案検討会において、ITU-Rへ日本として提案すべき5G提案方式を受け付けていた。

今回、研究グループは、1km2あたり100万個のデバイスの通信を可能とする5G方式を、5G無線インターフェース(IMT-2020無線インターフェース)の日本提案候補案として、正式に提案した。

この方式は、カオス理論を基礎とした非周期的性を持つ信号を用いる伝送システムの研究を背景とするAPFAという新しいコンセプトに基づいている。シミュレーションの結果、今回提案された方式は、超周波数多重化システムに対応可能で、伝送容量は少ないが伝送速度が端末によって異なるセンサーネットワーク、5G システムの多くの端末を収容する制御回線用ネットワーク(C-PLANE)、時刻配信や周波数配信等の社会基盤情報配信にも適用ができることがわかった。

今後は、概周期周波数配置について、Weyl関数以外の構成を研究して概周期周波数配置適用を発展化することや、非同期性と概周期性の特性検証、カオス性の研究、最適化およびその実装、通信以外への適用、電波産業会(ARIB)標準化部会 IMT-2020無線インターフェース提案検討会における今後の詳細評価への対応、3GPPにおける5G Phase 2 Release 16標準化での同技術の提案といった取り組みを考えているという。