パイクリスタルならびにオルガノサーキットは、LEDディスプレイを駆動する有機半導体アクティブマトリクスを開発し、実際にLEDディスプレイを駆動させることができることを実証したと発表した。

デジタルサイネージには、大型・軽量・低コストといったニーズがあり、フレキシブルかつ低コストな印刷プロセスが適用できる有機半導体の応用が期待されている分野だ。しかし、電流密度を中心とする有機半導体の性能が不十分とされており、実用化のめどはついていなかった。

今回、研究グループでは、溶液塗布のプロセスによって有機半導体材料を単結晶化し、10cm×10cmのエリアに均一な特性を有するトランジスタデバイスを作製するプロセスを実現し、2T1C型の低消費電力LED駆動回路を開発した。また、10cm角程度のエリアにLED駆動が可能なトランジスタアレイを形成し、個々のチップを切り離して50cm角の軽量フレキシブルディスプレイ基板上の各画素に貼り合わせるラミネーション実装法を新たに開発。これらにより、ミクロンスケール精度が必要な駆動回路部分の面積を最小限にすることが可能になり、安価な製造装置で高歩留まりの大面積アクティブマトリクスを有する軽量フレキシブルディスプレイシートの製作が可能になったという。

  • 開発されたLEDディスプレイの有機アクティブマトリクス

    開発されたLEDディスプレイの有機アクティブマトリクス (出所:JST Webサイト)

さらにこうして開発されたアクティブマトリクスと、オルガノサーキットが開発している3mmピッチのLED表示パネルとを組み合わせ、有機トランジスタを用いたアクティブマトリクスとして実際にLEDディスプレイを駆動できることも確認したとする。

  • 有機半導体でアクティブマトリクス駆動するLEDディスプレイ

    有機半導体でアクティブマトリクス駆動するLEDディスプレイ (出所:JST Webサイト)

なお、研究グループでは今後、50cm角の軽量フレキシブルシートを複数並べた、より大きなディスプレイを開発し、テストマーケティングを行った上で、2~3年後の商品導入を目指すとコメントしている。