--:今、ファブの内外比率の変化の話が出ましたが、売り上げのエンドマーケットに対する比率も変化してきてますよね

山崎氏:グローバルで2017年6月末までの直近12か月の売り上げ比率は、自動車20%、産業27%、通信/データセンター21%、民生28%、コンピューティング4%とバランスが良いのですが、確かに2012年6月末までの直近12か月では、民生が43%と、非常に偏りが見えました。これは、長期的な観点からの戦略変更ですが、この変更は、自動車と産業分野が強い日本には追い風になっているかなと思っています。ただ、民生や通信分野も、日本という地域では魅力的な市場ですので、インタフェースとPMICに特化する形でアプリケーションに対応していくつもりです。

--:今のグローバルでの戦略は日本市場にとっては追い風ということですね

山崎氏:外部からMaximを見ていたときには、Maximといわれて浮かぶ製品が少ないイメージがありました。しかし、入社してその製品群を見ると、良いものを沢山持っていることが分かりました。元々、良いものを作れば売れる、という信念を貫いてきた、ということもありますが、その信念をもとに、それをどう伝えていくかが、これからの課題だと思っています。

これは販売代理店でも同じだと感じていて、我々の素晴らしい製品を、より知ってもらう努力を続けていくことで、最終的には顧客が気づいたらMaximの製品を使っていた、という状況にまで持っていければ良いなと思っています。

--:では、そういうことを実現するための、日本独自の戦略といったものも考えられている?

山崎氏:独自の戦略としては、Webで技術紹介の動画などを本社が作っているのですが、そうした動画を日本人が改めてやるようにして、英語じゃない、日本の言葉で届けるといったことなどをすでに進めています。

世の中、色々な技術が登場してきて、それを手軽に活用することも可能になってきました。マキシムとしても、そうした技術を活用した新たな取り組みを次々と行っていくことで、半導体を使う人たちに向けた存在感を高めていきたいですね。

半導体を活用している今のプレーヤーが、そのまま成長していくかどうかは分かりませんが、IoTの流れを受けて、プレーヤーの裾野が拡大し、市場が広がっていくことは確かだと思います。デバイスが増えれば、電源は必要ですし、ネットワークに接続すれば、セキュリティを気にする必要があります。ちょうど、そうした分野は我々の強みの部分で、ハードウェアのみならずソフトウェアの面でも製品を有しているので、面白い特長を出せるのはないかと思っています。

--:それでは、最後に、将来のマキシム・ジャパンの姿をどのように考えているかを教えてください

山崎氏:抽象的ではありますが、顧客に身近な存在として、顧客が何かをやりたいと思ったときに、まず最初に思い浮かべてもらえるメーカーになりたいですね。

自動車と産業機器に軸足を持っているということは、品質やデリバリといった面での心配がないことの証明となっていますので、そこを前面にもっと押し出して、高い信頼性で製品を作っているメーカーであることを知ってもらえるようにしていきたいと思っています。

--:ありがとうございました

取材を終えて

山崎氏の印象は、一言で言って視野が広い、というべきところだろうか。さまざまな経験から裏打ちされた広い視野から、現在の状況を判断し、そこから導き出されるであろう複数の結論から最良のものを選択し、それをすぐにでも行動に移せる、というイメージを受けた。

2017年は、IoTという言葉が、概念ではなく、実際にビジネスのシーンで活用が開始された元年とでも言うような状況となっている。そうした中、同氏の発言にもあったが、ネットワークと電源は、すべてのIoTデバイスに必須のものであり、マキシムが狙える市場のパイは拡大していることとなる。

こうした流れを、どのように好機に変えていくのか、今後の同氏の手腕に注目したい。