三菱電機とHEREは10月27日、高精度位置情報サービスのグローバルでの利用拡大に向け、両社の技術を相互に活用していく提携関係について合意したと発表した。

今回の協業により、両社はHEREが整備を行っている高精度地図ならびに、すでに運用を開始しているクラウド位置情報サービス「Open Lacation Platform」と、三菱電機が開発した高精度に自身の車両位置を把握できる「高精度ロケータ」を組み合わせ、車両の周囲の状況に応じた高精度な位置情報サービスの提供が可能になるという。

三菱電機とHEREそれぞれの取り組みの概要

今回の提携についてHERE TechnologiesでCEOを務めるEdzard Overbeek氏は、「位置情報はすべてのデータの根幹をなすものであり、すでに多くのデータに位置情報が含まれるようになっている。HEREでは、そうした自動車に限らず、さまざまな機器から得られる位置を含んだ情報を集約することで、それを車両や人、都市インフラなどに伝えていくことで、リアルタイムの交通状況やスマートパーキングといったことができ、都市が抱える多くの社会問題の解決につなげることが期待できる」と自社の取り組みを説明したうえで、三菱電機の技術とそれらを組み合わせることで、「将来に向けた新たな価値を提供できるようになる」と述べた。

HEREの技術の利用例

一方、三菱電機が提供する高精度ロケータは、自車の位置を高精度に検出し、高精度な地図を用いて、道路の状況を事前にドライバーや車に提供して、安全な運転支援を実現するもの。カメラなどのセンサでの認識が困難な場合でも、衛星情報と高精度地図から道路を把握、各センサとの相互補完的な関係性を構築することで、センチメートル級の測位を含めた高度な運転支援を実現するものとなっている。

高精度ロケータの概要

これらを組み合わせた活用方法として両社は、例えば交通渋滞が発生しているレーンを事前に察知し、そこを避けるように誘導したり、災害発生などの情報をリアルタイムで把握して別のルートに誘導したり、空いている駐車スペースを事前に確保して、そこまで確実に誘導したり、といったことが考えられるとしており、今回の協業を通して、安全かつ安心なスマートモビリティ社会の実現に貢献していきたいとしている。

三菱電機とHEREの提携で実現されるサービスの例

なお、両社が提供するサービスについては、確実な時期は確約できない、としながらも、2020年ころをめどに、まずは欧米からサービスの提供を開始し、日本については、その後、検討を進めていくとしている。

握手を交わすHERE Technologies CEOのEdzard Overbeek氏(左)と三菱電機 専務執行役員 自動車機器事業本部長の井口功氏(右)