具体的なPaperの活用例は?
五十嵐:ミーティングの例を挙げれば、召集された際にメンバーがどこにいて何をしていようが問題はない。Paperは、マークダウンに対応したエディタを備え、クラウドを通じてドキュメントの共同編集、伝達事項や写真などの共有を可能としている。また、外部からハングアウトでミーティングに参加できるため、物理的に場を共有する必要はない。
これまでの働き方であれば、ミーティング前の資料作成などが必要であり、ミーティングのためのミーティングという本末転倒なこともあれば、情報が共有されていない場合もある。さらに、テキストで文章化したファイルをミーティング後にメールで共有、あるいはファイルサーバで保管している状況だ。
しかし、時間の短縮や前回のミーティングで挙げられたアクションアイテムに対して、フォローアップされているかを担保するためには、参加者全員が常に議事録を閲覧・確認できるような環境が重要だと考えている。
Peparは議事録のすべてが羅列され、ファイルがDropbox内にあればメンバーが迅速なアクセスを可能とし、内容の把握に加え、アクションアイテムをメンバーにリマインドすることもできる。議事録のほか、複数社を交えたカタログ製作や、建築関連の仕様書・設計書・仕上表の共有など用途は幅広く、多様なビジネススタイルへの適用を可能としている。
一方で、良い意味で極めて単純な機能のためユーザーが戸惑うことも事実であることから、Paperの多様な活用例の啓蒙活動に取り組んでいる。これまでは、われわれが主体となり、用途の説明をしていたが、現在は各顧客におけるPaperの活用例を吸い上げて、提案先に紹介している。
Dropbox Japanの戦略は?
五十嵐:Dropboxを有効的に使うことは論理的に理解できるが、従業員の振る舞い自体を変えていくことは難しいため、提案先で実証してもらう試みを行っている。最近では、このような実証を経て、建設業や学術系、デジタルメディア系などでの導入が多い。
例えば、建設業では各地に多くの現場を抱えているため現場で設計することはなく、本社で設計することが大半だ。設計された情報は、現場のプレハブに設けたファイルサーバやNASなどで管理されているが、バックアップを取っていなかったり、オフィスと比べて管理体制が劣悪(粉塵など)なため故障したりするリスクが高い。
学術系は、研究室・授業単位でのレポート回収、授業テーマの共有など、BYODや増加するデジタルコンテンツへの対応に迫られている。これらの各業界の課題に対し、Dropboxで変えていく動きがあるため、絶えず品質を高めた製品の提供を継続する。
今後の働き方改革については?
五十嵐:まだまだ伸びしろは十分にある。Dropboxは「エンドユーザーにとって使いやすく」という開発趣向のためファイルを探し出す必要がなく、送信・受信などもスムーズに実行できるため、他社からの移行ユーザーも多く存在する。
業務中に発生する無駄な時間を短縮する積み重ねが、働き方改革を実現可能なものにしていくのではないだろうか。真実は実際に製品を使用している現場にある同時に、使用している人のオペレーションや時間に宿っている。このようなことから、われわれでは今後も新しい働き方を可能にする環境を提供していく。