千葉工業大学惑星探査研究センターは、ヨーロッパ宇宙機関と日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、2018年10月に打ち上げを予定している日欧共同水星探査計画ベピコロンボ(BepiColombo)に、同大学が開発した水星ダストモニター(MDM)が搭載されることを発表した。

水星磁気圏探査機ベピコロンボ(c)JAXA/ISAS(出所:千葉工大ニュースリリース)

この計画では、ベピコロンボを2018年に打ち上げ、約7年間のクルージング期間を経たのち、2025年に水星に到達して最高温度が350℃を超すような環境で約1年間の観測運用を行うという。千葉工大が開発に関わった水星ダストモニター(MDM)は、その科学搭載機器のひとつだ。

ベピコロンボは、主に水星表面の様子を調べる表面探査機(MPO、ヨーロッパ側が開発を担当)と、水星周辺環境について調べる水星磁気圏探査機(MMO、日本側が開発を担当)の2機編成。MMOはスピン衛星(4秒で1回転)で、水星の赤道面にほぼ垂直の姿勢となる。直径1.8mの円に内接する8角柱形状で、高・中利得アンテナを含め高さ約2.4m(側面パネルの高さは1.06m)、2組の5m伸展マスト(磁場観測用)、2対の15mアンテナ(電場観測用)を持っている。

一方のMMOは水星の固有磁場、周辺環境(磁気圏・太陽風との相互作用)、大気の観測を目的としている。水星ダストモニターMDMは、MMOの搭載機器のひとつで、水星周辺のダスト粒子環境を観測する。

右側の白い板状のものがセンサー、左側の黒い箱がエレクトロニクス部(出所:千葉工大ニュースリリース)

同探査機はヨーロッパ側の開発の遅れから、打ち上げがここ数年間延期されていたが、ついに来年打ち上げられることになり、現在、ヨーロッパ宇宙機関の試験施設にてMMOの最終段階の試験が行われている。打ち上げから水星までの道のりは長いが、同大学では「観測データ取得後のデータ解析の準備をしながら、観測開始を待ちたい」としている。