日立化成は7月24日、銅の含有量を0.5%未満に抑えた「銅フリー摩擦材」について、Ford Motor Companyのセダン「Fusion」での採用が決定したことを発表した。

米国環境保護庁は、銅を含む摩耗材による水質汚染を防ぐため、摩耗材における銅の含有量を制限する規制を発表している。これにより、2021年からは5%以上、2025年からは0.5%以上の銅を含有する製品は、米国内で販売および新車への組み付けを禁止される予定だ。今後、欧州地域においても同様の規制が進む可能性があるという。

そこで同社は、NAO(Non Asbestos Organic)材をベースとし、フェノール樹脂、有機繊維など複数の素材を組み合わせることにより、銅含有量を0.5%未満に抑えた銅フリー摩擦材を2015年に開発した。

同材では、摩擦材が高温になったときに発生する摩耗粉の銅含有量が低減している。また、降雨・降雪などに伴い路面状態が変わった場合や走行速度が変わった場合の摩擦係数の変動幅が小さいことや、タイフェード性などについては、銅を含有する摩擦材と同等レベルであるという。こうした特徴から同材は、自動ブレーキシステムを装備した車への搭載が可能となった上、ブレーキを使用する際に発生する異音などの低減なども実現するとのことだ。

同社は、日本をはじめ、中国、タイ、メキシコでの摩擦材の生産・供給体制を整えており、今後需要が増えると予想される同材をはじめ、摩擦材事業の一層の強化、シェア拡大を目指すとしている。