NECは、市販のペンで書いた点(ドット)を識別タグにすることができる技術「マイドット」を開発したと発表した。

「マイドット」概要

同技術は、肉眼では確認が難しいインク内部の微細な模様(パターン)を画像認識することで、手で書いたドットを識別するというもの。点描にはデコレーション用途で市販されているラメ入りインクのペンを用いており、ドットの直径は1mm程度になるという。バーコードのような既存タグと比べて非常に小さく、また印字やシールの貼り付けなどのコストが発生しないため、さまざまな物品へのタグ付けが可能になる。

ペンで書いたドットを識別タグにするための手順としては、まずドットを書いた後、スマートフォンと外付け顕微鏡カメラを用いて拡大画像を撮影する。その画像をサーバに登録してデータとリンクすることで、ドットが識別タグとして機能するようになる。

画像認識において、インクの粒子パターンは特徴点が多く照合が難しかった。今回開発したアルゴリズムで、照合しやすい特徴点のみに絞り込むことで、精度と速度を高めた

インクの粒子パターンには数多くの特徴点が発生するため、従来の画像認識のアルゴリズムでは照合に時間がかかり、精度も不十分であった。そこで、今回新たにアルゴリズムを開発し、インクの模様から抽出されたそれぞれの特徴点周辺における明暗の偏り方を数値計算し、照合の際に必要な位置決めの基準となる方向の安定性を評価した。安定的な方向が取れる特徴点を絞り込み照合を行うことにより、照合精度と速度を高めている。例として、1000種類のドットの中から指定したひとつを絞り込むのにかかる時間は1秒程度という。セキュリティ面について、識別タグとなったドットを市販のスキャナとコピー機で複製したものは利用不可と判断可能な精度となっている。

この技術に関して、同社はいくつか利用例を提案しており、これまでバーコードで行われてきた物品管理の簡便化や、タグの貼り付けが困難な小型電子部品への識別タグ付与、レンタルオフィスやホテルなどの入退場に用いるカギとしての利用など、多岐にわたる応用が可能であるとしている。

「マイドット」を適用可能な物品の例

「マイドット」読み取りデモンストレーション。手書きの点1000個の中から、読み取ったものがどの位置にあるものか表示するもの

「マイドット」はバーコードなどの印字タグと比べて取り付けの運用コストが低く、BtoB領域での活用の幅も広そうだが、気になるのはインクの耐久性だ。同技術の開発を担当したNEC データサイエンス研究所 主幹研究員 石山塁氏に尋ねたところ、今回の発表では市販のペンを用いたドット描画を前提としているが、技術の根幹となるのはインク粒子の読み取りによる識別のため、電子部品への識別タグ付与などのBtoB利用を行う場合、点描の機械化や、用途に適した耐久性の塗料の採用について検討を行う想定だという。

なお、同社は「マイドット」技術について、認証サーバの提供によって展開していく。サービス導入を検討する外部企業と連携し、2年をめどに実用化する見込みだ。

微細な電子部品へのドット付与のサンプル

レンタルオフィスなど、出入りする人が頻繁に変わる扉のカギに「マイドット」を用いる例。名刺などの紙を使えば利用終了後に廃棄でき、再発行も容易なため、同技術が適しているという