ザインエレクトロニクスは、MIPI CSI-2インターフェースに直結できるV-by-One HS新製品「THCV241-Q」を、6月より量産出荷することを発表した。
イメージセンサの高性能化が進み、その使用用途は携帯電話のカメラ機能をはじめ、車載カメラ、監視カメラなどに展開されている。大容量の撮像データ出力を特徴とするイメージセンサは MIPI CSI-2インターフェースを搭載するのが一般的だが、同インターフェースは規格上、撮像データの伝送距離に制約が生じ、アプリケーションにおけるイメージセンサのレイアウトに制限が生じるという課題がある。
このたび同社が量産を開始するTHCV241-Qの最大の特徴は、MIPI CSI-2インターフェースをV-by-One HSインターフェースに変換することで、伝送距離を15mまで大幅に伸ばせる点にある。最大8Mpixel 30fps(または60fps)の撮像データを、1対のシールド付ツイストペア線あるいは1本の同軸線またはシールド付ツイストクアッドケーブルで、V-by-One HSによる伝送が可能となっている。これにより、MIPI CSI-2インターフェースを搭載したイメージセンサが抱える伝送距離制約を解消できると同時に、少ないケーブル本数で大容量の撮像データ伝送線路を構築できる。
さらに、イメージセンサを制御するためのGPIO/UART/2ワイヤ・シリアルインターフェースのブリッジ機能を搭載し、撮像データ伝送先のプロセッサ側から伝送元のイメージセンサ動作を制御することができるほか、電源の供給を同じケーブルで行うことも可能となっている。
同製品は、車載品質AEC-Q100 Grade 2に対応しており、複数の車載カメラを搭載する際にレイアウトフリー、かつケーブル数削減による重量低減可能なソリューションとして使用できる。加えて、HDR機能搭載イメージセンサが出力する大容量撮像データにも対応し、V-by-One HS 1laneで2Mpixel 60fpsのデータ伝送が可能。さらに、V-by-One HS技術はデータ非圧縮の高速伝送方式のため、データ圧縮・伸長処理時間が必要なく、自動運転システムを構築する上で欠かせないADAS用車載カメラに求められる、高解像度HDR映像の伝送と伝送遅延ロス低減の両立を実現している。
なお、同社代表取締役社長の高田康裕氏は、以下のように述べている「当社は、2016年12月に本新製品のサンプル出荷を開始してから、数年内に1億台への拡大が見込まれる車載カメラ市場をはじめ、監視カメラ市場、医療用カメラ市場等のお客様へサンプルのご提供と製品評価サポートを進めてまいりました。今後は、THCV241-Qの量産により、お客様の製品の付加価値向上に貢献するとともに、お客様の更なるニーズにお応えできる製品開発をしていく方針です。」