ヤマハ発動機は、水深4,000m級の海底探査レース「Shell Ocean Discovery XPRIZE」にチャレンジするオールジャパンの産学官連携チーム「Team KUROSHIO」に、技術者1名を派遣した。

自律型海中ロボット(イメージ)

「Shell Ocean Discovery XPRIZE」は、自律型海中ロボットを用いて水深4,000m級の深海の広域3Dマッピングに挑み、その精度やスピードを競う賞金総額700万ドルの国際海底探査コンペティション。インセンティブ競争を通じて、人類の利益のためのブレークスルーをもたらすことを目的としている米国のXPRIZE財団が主催しており、過去の大会では、有人弾道宇宙飛行や月面探査、CO2転換製品開発、成人識字率の改善などをテーマとして開催されたことがある。今回の大会は、海底資源調査の高速化や低コスト化につながる新たな技術の獲得が開催目的となっており、13ヵ国から計32チームがエントリーしている。

「Team KUROSHIO(チーム クロシオ)」は、日本の産・学・官の連携によるオール・ジャパンチームで、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、東京大学生産技術研究所、九州工業大学、海上・港湾・航空技術研究所、三井造船、日本海洋事業、KDDI 総合研究所に所属する若手研究者、海洋技術の専門家らが結集し、海洋国家の威信を賭けてエントリーしているという。ヤマハ発動機は、壮大なチャレンジによる社内モチベーションの向上、海洋技術・ビジネスに関わる知見の獲得とネットワークの構築、ブランドスローガン「Revs your Heart」の体現を目的に、共同研究に取り組むとともに、マリン事業や無人機事業を通じた技術開発やロジスティックス(機材の小型化・効率的な梱包)、モータースポーツ活動を通じたレースマネジメントの知見等によるチームへの貢献を目指しているということだ。

同チームに派遣されるのは、PF車両ユニットコンポーネント統括部機能ユニット技術部の進藤祐太氏で、派遣技術者の社内公募により、論文・面接等の審査を経て選出された。 同チームへの参加にあたり、進藤氏は「同世代の研究者の『常識を覆したい』という情熱に心を打たれ、技術者としてのチャレンジスピリットに火が付いた。ヤマハ発動機の代表としての責任を感じながら、チームの皆さんとともに世界一にチャレンジしたい。自分一人の力には限界がある。会社の中に存在するさまざまなリソースをチームの力に変えられるよう努力する」とコメントしている。

なお、開催スケジュールは、2016年12月に技術提案書審査が既に行われ、日本からはTeam KUROSHIOが唯一通過している。2017年9月にはラウンド1として、水深2,000mの海域での海底マップの構築と海底ターゲットの写真撮影が行われる。その後、2018年9月にラウンド2として、水深4,000mの海域での海底マップの構築と海底ターゲットの写真撮影が行われ、2018年12月に結果発表が予定されている。