フォントワークスは11日、大手欧文書体メーカーである米・Monotype ImagingInc.(以下、モノタイプ)との業務提携に合意し、モノタイプの欧文/多言語フォントを提供する年間定額制フォントサービス「Monotype LETS(モノタイプレッツ)」を発表した。本稿では同日に開催された記者発表会の様子をお届けする。

左から、Monotype ImagingInc. Senior Vice President Joe Roberts氏、フォントワークス 代表取締役社長 CEO 原田愛氏、ソフトバンク・テクノロジー 代表取締役社長CEO 阿多親市氏

フォントワークスは、デジタルフォントの提供に強みを持つ企業。広く知られているフォントとしては「新世紀エヴァンゲリオン」で用いられた「マティス EB」などがあり、テレビ番組のテロップやゲームアプリ/ソフトでの利用率が高い。一方、モノタイプはHelvetica(ヘルベチカ)をはじめ、デザイナーであれば知らぬ人はいない有名な欧文フォントを提供する大手フォントベンダーだ。

年間定額制フォントサービス「Monotype LETS」では、モノタイプが扱う9,005書体を、フォントワークスをプラットフォームとして提供する

今回発表された「Monotype LETS」では、Helveticaに加えFrutiger(フルティガー)、Optima(オプティマ)など有名な欧文フォントや多言語フォントを含む9,005書体を収録。幅広い多言語対応フォントのほか、有名フォント「Neue Frutiger(ノイエフルティガー)」に合う書体として開発されたモノタイプ初の日本語フォント「たづがね角ゴシック」も収録される。モノタイプはすでに国内で年間契約によるフォント提供を行っているが、「Monotype LETS」での提供書体数はモノタイプ直販と同等であるとのことだ。

フォントワークス代表取締役社長CEO 原田愛氏は、顧客からさらに高品質な欧文フォントへのニーズが寄せられたこと、日本国内でのさらなる販売強化をモノタイプが希望したことから、今回の協業による新プランが生まれたと語った。

IoT分野でデジタルフォントを広げる

フォントワークスは2016年にソフトバンク・テクノロジー(SBT)の完全子会社となっており、会見ではSBT代表取締役社長CEO 阿多親市氏のプレゼンも行われた。SBTがもくろむIoT領域の開発推進に、同社のデジタルフォントは欠かせない要素である、という位置づけだ。

進化するデバイスに対応したデジタルフォントの提供を見込む

SBTのIoT戦略の中で、フォントワークス提供のデジタルフォントは欠くべからざる存在として位置づけられている

IoT分野の展望として、多機能デバイスの小型化と付属液晶の表現力の向上で、フォントによる表現の場が広がることが挙げられた。今後、同社では組み込み機器に顕著な課題である「フォントファイルの軽量化」やAR/VRといった技術など、次世代のフォント活用シーンを見据えた研究開発を進めると語った。

マルチディスプレイ、3D環境、コネクテッドカーなど、次世代産業でのデジタルフォント活用を狙う

今回リリースした「Monotype LETS」をはじめ、多言語をカバーするラインナップでローカライズを後押しするという

原田CEOは、今後注力したい分野として自動車を挙げ、「車載のヘッドアップディスプレイではすでに実装いただいた実績がある。今後、自動車が"走るスマホ"と言える状態にまで高まったならば、スマホのように表示を自在に切り替えたいというニーズは必ず出てくる。そのための研究開発を進めたい」とコメントした。

「Monotype LETS」料金体系

入会金:3万円(税抜/1事業所・初年度のみ)
年会費:3年コース 1PC 2万4,000円(税抜)/1PC/1年間
年会費:1年コース 1PC 3万6,000円(税抜)/1PC/1年間
使用許諾 1PC 1ライセンスの年間契約