SOLIDWORKSの年次イベント「SOLIDWORKS WORLD 2017」が2月5日(現地時間)、米国カリフォルニア州ロサンゼルスで開幕。同イベントの本格スタートとなる2日目の全体セッションでは、CEOのジャン・パオロ・バッシ氏が製品の開発方針について語った。

全体セッションの会場。今年は観客がスピーカーを360度取り囲む

SOLIDWORKSのジャン・パオロ・バッシ CEO

CEOが人体切断マジックを披露

バッシ氏は冒頭、プロのマジシャンが使用する大道具を開発するIllusion Projects社のTim Clohier氏が、SOLIDWORKSを用いて設計したという装置を用いて人体切断マジックを披露。SOLIDWORKS WORLD 2017のテーマである「THE NEW. THE NEXT. THE NEVER BEFORE.」を"不可能と思われることを(アイデアで)実現する" ことで表現した。

「一人ひとりのイマジネーション、知識によって、今までに無いものを作れる。これは皆さん(会場のエンジニア)にとっては日常だ。皆さんは毎日マジックをやっているようなもので、そのためのツール、リソースを我々は提供している」(バッシ氏)。

"人体切断装置"の設計画面

実物がこちら

バッシ氏は無事生還した

また、同氏は「THE NEW. THE NEXT. THE NEVER BEFORE.」を体現するユーザー事例として、NASAのJet Propulsion Laboratory(JPL)が開発を進める次世代ローバーとSpace X社が実現を目指す次世代交通システムであるハイパーループを紹介。「こうした先進的な製品を開発するためには、プラットフォームが必要だ。プラットフォーム上に人、テクノロジーを積み上げていくことで、製品の市場投下を早める」と語り、プラットフォーム戦略の重要性を説明した。

JPLの次世代ローバー。惑星移住を目的とし、時速10kmで移動し、傾斜35度の坂道を500kgの荷物を積んで登れるようになるという

ハイパーループで人が乗るカプセルの設計案

SOLIDWORKS 2018ではCAMを無償提供

製品の開発方針については、デスクトップ製品、ネイティブアプリ、ウェブアプリの3軸で進める。デスクトップ製品では、次期バージョンSOLIDWORKS 2018にトポロジー最適化機能を搭載するほか、 CAMツール「SOLIDWORKS CAM」をアドオンとして全バージョンに無償提供する。また、SOLIDWORKS Industrial Designerなど3Dエクスペリエンス・プラットフォーム上で展開するネイティブアプリについても、今後新製品を投入していくとした。

次期バージョンでトポロジー最適化機能が搭載される

SOLIDWORKS CAMは次期バージョンにて無償提供する

同氏はSOLIDWORKS WORLD 2016で発表したウェブアプリであるX Designにも言及。発表時には「トポロジーの最適化に特化したジェネレーティブデザイン」(バッシ氏)との説明があったが、今回のプレゼンでは「安全要件や環境要件なども考慮した最適化を行う」(同氏)とした。同製品は現在βテスト中で、リリース時期は未定。

当初の予定から遅れてはいるものの、バッシ氏はX Designの開発自体は"順調だ"とコメント