芝浦工業大学(芝工大)は8月3日、窒素含有カーボン(NCNP)とカーボンナノファイバー(CNF)からなる「NCNP-CNFコンポジット材料」を開発したと発表した。

同成果は、芝浦工業大学 工学部 材料工学科の石﨑貴裕准教授らの研究グループによるもの。

リチウムイオン電池などに代わる次世代電池として、容量の大きい金属空気電池の開発が進められている。正極で酸素を還元する触媒は、白金などのレアメタルが使われており、その代替としてカーボン素材が注目されているが、既存の窒素含有カーボンは白金担持カーボンに比べ触媒性能が劣るという課題があった。

また、窒素含有カーボンを合成するためには、真空プロセスであるCVDなどによりカーボン材料を合成し、アンモニアガスを用いた高温処理などで後処理を行う必要があるため、高コストとなる。

今回の技術では、常温環境下のソリューションプラズマ反応場である有機溶媒中に市販のCNFを混合し、ソリューションプラズマで処理することで窒素含有カーボンとCNFの複合材料を合成することができるため、低コストに抑えることができる。また、カーボン材料を複合化させることで、NCNPの豊富な活性サイトとCNFの導電パスの相乗効果を生み出し、レアメタルなどを使用せずに、白金触媒に近い性能を引き出すことに成功している。

同研究グループは今後、企業などと連携し、材料の応用や実用化に向けた研究を行っていくとしている。

ソリューションプラズマ処理による合成

ソリューションプラズマ処理の様子。溶液中の低温非平衡プラズマで合成・処理中の液温は室温~40℃程度