2020年の5G導入に当たっての方向性は見えてきたが、そこから先の5G+につながるであろう新たな周波数帯については、まだまだ模索が続いている状況にあるという。「昨年、ITU 2015年世界無線通信会議(WRC-15)が開催されたが、そこの結果を踏まえてみると、利用が決まっている周波数で日本として新たに追加されるものは見当たらなかった。周波数が決まらなければ、サービスの展開も決められないが、次回のWRCは2019年開催であり、2020年のサービスインを考えると待っていられない」という状況であり、5Gを先行して導入しようとしている日本、韓国、米国の3カ国で共通して利用できる周波数で対応を図るという案も検討しているという。
そうした状況を踏まえ、NTTドコモでは3種類の周波数の提案を行っているという。1つ目は3.4~3.8GHz帯。世界的に使えそうではあるが、LTEに割り当てられているため、使い勝手はそれほど高くないという。2つ目は4.4~4.99GHz。日本としては、WRCからも使えると言われているものの、ほとんどの地域で使用できない、という課題があるという。そして3つ目が27.5~28.5GHz。いわゆる28GHz帯といわれる部分で、日米韓である程度使えると見ているとする。
NTTドコモでは、2017年より5Gのシステム的な本格的なトライアルを開始したいとしているほか、すでに13社のパートナーと連携して、さまざまな周波数や通信技術といった要素技術の研究を進めている。例えば28GHz帯ではSamsung Electronicsと共同で、ビームフォーミングによる時速60kmで走行する移動体との通信により、2.59Gbpsの通信速度を出せることや、200m離れた場合でも1Gbpsを達成できることを確認したほか、NOKIAとは73.5GHz帯での帯域幅1GHzで200mの距離で1Gbpsを出せること、Ericsonとは15GHz帯/400MHz幅で、屋外の基地局と移動局装置の間で10Gbpsを超す速度で通信が可能であることをそれぞれ示している。
なお、トライアルの内容については、実践的な5Gの性能評価、運用ノウハウの蓄積に向けたものとなる予定で、できれば東京で実施したいとの思いを中村氏は語っており、さまざまな関係機関などを協調して、2020年の商用化に向けた研究開発を継続して行っていきたいとしていた。
キーサイトが提供する5G向けソリューションとNTTドコモがパートナー13社と進める取り組み。最近、NOKIAがAlcatel-Lucentを統合したが、代わりの13社目としてMediaTekが参画している |