テキサス州オースチンで開催されたNXP Semiconductorによる「NXP FTF Technology Forum 2016(NXP FTF 2016)」のキーワードは「Smart」であった。
ちょっと順序が前後するが、Freescale SemiconductorがFTFを開催していた時代の展示会場である「Technology Labs」では自社の製品群を「Health」、「Industry」、「Automotive」、「Communication」という4つの分野に分類していた。これがNXP FTFではどう変わったかというと、「Smart Industry」(Photo01)、「Smart Transport」(Photo02)、「Smart City」(Photo03)、「Smart Life」(Photo04)に再分類され、さらにこの4つの部門の上(?)に「Smart Society」(Photo05)というジャンルが構成されていた。
加えて言えば、Freescaleの「IoT Truck」(Photo06)はNXPの「IoT Truck」へと模様替えされていたが(Photo07)、こちらのテーマは「Smart World Tour」である。とにかく、この「Smart」というキーワードを全面に押し出してきたのがNXP FTFの最大のポイントと言って良い。このSmartというキーワードをどう紹介したか、ということでまずは基調講演の様子からご紹介する。こちらのテーマは「Secure Connections for a Smarter World」である。
基調講演自体は同社のSteve Owen氏(Photo08)が司会進行を務める形で始まった。まずは10分ほど掛けて、Smarter Worldがどのような形で実現されるか、そしてその際にセキュリティがどれほど重要かを説明した上で、「NXPはFreescaleと一緒の会社になったことで、広範な製品ポートフォリオを手にして、これを提供できる状態になった」事を強調した(Photo09)。
この結果として
- 自動車向け半導体でNo.1となり、「1台の車には100個のNXPのプロセッサが搭載されている」
- 基地局向けのハイパワーRFでNo.1である
- 世界の携帯電話の90%にはNXPのStandard Productsが搭載されている
- E-Passportの80%にはNXPのチップが利用されている
- Network SecutiryとPayment Transactionの分野でリーダー
- NFCのCo-Creator
といった立場にあることを紹介してから、Rick Clemmer氏に引き継いだ(Photo10)。
Clemmer氏はまず最近の経済が最新のテクノロジーをベースにしていること(Photo11)に触れながら、これらがコネクテッドデバイス化し、複数の機能を有するようになって行く中で、よりセキュリティが重要になるとし、NXPの「Secure Element Technology」やさまざまな製品例を、MasterCardからのビデオメッセージやGemaltoのSVPを招いて説明を行う(Photo12)など、念入りに説明を行った。このあたりは元々NXPが培ってきたものだけに、力の入ったものだった。
Photo11:現在の経済価値の80%は最新のデバイスでもたらされている事に触れて、「これはエレクトロニクス業界にとっては喜ばしい事だ」とした |
Photo12:Jack Jania氏(SVP, Strategic Alliances, Gemalto, Inc.)。GemaltoはNXPと2007年以来、NFCに関して協業を行っている |
同氏は最後に、セキュリティに関してNXPは7つのデザイン哲学(Design Philosophy)を掲げている事(Photo13)や、セキュリティに関して1700もの特許を保持している事を紹介して、再びOwen氏に代わった。