産業用ドローンを手掛けるスカイロボットは5月24日、富士山麓(山梨県側)において人工知能を搭載したドローンを使った探索レスキューシステム「TDRS」の実証実験を実施すると発表した。今回の実証実験では、登山道に受信機を設置し、ドローンと人を展開して陸空より登山道から外れた登山者を発見する監視システムの模擬実験を行う。

TDRSは3機のドローンが山岳や海上における遭難者を三点計測によって発見するシステム。具体的には、遭難者が携帯するSKYBEACONの信号を、人工知能システムを搭載して遭難者を探索するドローン(SKYRESCUE)がトラッキングし、3機のドローンが遭難者の正確な位置情報を計測・特定し、TDRSアプリを持つ救助隊に通知する。

SKYBEACONは1年半近く電池が持つことと、GPSに依存しない位置情報の取得が可能なため、地形に影響されずに信号を受信できる。また、ドローンは夜間でも捜索できるほか、搭載された赤外線サーモグラフィーカメラにより遭難者の生死の推測が可能だという。

TDRSの仕組み

1) 各ドローンが担当範囲を捜索。山全体を3つの座標エリアに区分し、それぞれのエリアにドローンを1機ずつ飛行させる。3機のドローンがそれぞれのエリアを隅々まで探索飛行し、遭難者の大まかな位置を特定する。

2) 位置情報の受信。3機のドローンのうち1機が遭難者が発信する信号を受信。即座に残りの2機が信号を受信したドローンへと向かう。

3) 三点計測で遭難位置を特定。ホバリング中の信号を受信したドローンの周辺を残りの2機が最適な三点計測の状態になるまで自動的に周回し、遭難者の位置を絞り込んでいく。

4) 遭難者を発見、救助隊の出動へ。位置計測端末が解析信号の受信状態の分断を検知して、通信ルートを制御するため、解析信号を途切れることなく取得でき、より早く安全に救助隊に遭難者の位置を通知できる。