ロームは4月21日、高電圧で動作する汎用インバータや製造装置などの産業機器に向けた1700V耐圧のSiC-MOSFET「SCT2H12NZ」を開発したと発表した。

近年、省エネ意識の高まりから、汎用インバータや製造装置など産業機器において、省電力化を実現するパワー半導体が採用されている。これらの産業機器には、メイン電源回路だけでなく、制御ICや各種システムの駆動用に電源電圧を供給する補機電源が内蔵されることが大半で、そこには耐圧1000V以上のSi-MOSFETが広く採用されている。しかし、耐圧1000V以上のSi-MOSFETは導通損失が大きいため発熱も大きく、周辺部品点数や実装面積に課題があることから、機器のさらなる小型化に向けた制約になっていた。

同製品は、一般に使用される1500V耐圧のSi-MOSFETと比較して、1700V耐圧と同時に1/8となるオン抵抗1.15Ωを実現。また、パッケージにはTO-3PFMを採用することで産業機器に要求される沿面距離を確保している。同じく沿面距離を確保した面実装タイプのTO-268-2Lパッケージ品もリリース予定となっている。

同社製のSiC-MOSFET駆動用AC/DCコンバータ制御IC「BD7682FJ-LB」を組み合わせることにより、最大6%という高効率化と、大幅な損失低減による周辺部品の小型化も目指すことが可能となっている。

同製品は、2016年1月より量産開始となっており、同SiC-MOSFET駆動用制御ICと、これらを実装した評価ボード「BD7682FJ-LB-EVK-402」は、2016年4月からチップワンストップ、ザイコストア(コアスタッフ)にてインターネット販売が開始されている。

パッケージにはTO-3PFMを採用