積水化学工業(積水化学)は4月19日、「カーボンナノチューブ(CNT)温度差発電シート」の実用化に向けた実証実験を開始し、2018年度の製品化を目指すと発表した。
同社の高機能プラスチックスカンパニーは、奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 光情報分子科学研究室の河合壯教授、野々口斐之助教らが取り組む「CNT熱電変換材料」の開発に参画している。同社は、ナノ材料分散技術、化学修飾技術、成膜技術などの同社独自の技術を生かして、同熱電材料を活用し、発電シートとしての実証実験可能なサイズのCNT不織布作製に成功。このCNT不織布から個片化された素子をフィルム基板上に配列した温度差発電シートのサンプルを提供している。
CNT温度差発電シートは、生活環境等の身近な温度領域での発電が可能で、鉛、テルル等の毒性物質を含まないのが特長。有機系従来品と比較して大幅な性能向上が見込めることを確認しているという。現在はワイヤレスセンサー向けのエネルギーハーベスティング用途を想定しており、特に、ビルディングや大型商業施設の地下施設、空調配管、エレベーターシャフト、工場、大型倉庫、輸送機器(コンテナ、船舶)といった「高温多湿な環境下で定期的な交換・診断が難しく、かつ昼夜問わず常時監視の必要な設備のセンサー用電源」への応用を想定している。
同社は今回、開発品サンプルの提供など実用化に向けた実証実験を開始し、さらなる性能向上を進めるとともに、製品化を目指しデバイス開発・生産プロセス・アプリケーションなどサプライチェーンの各段階におけるパートナーの探索を進めていくとしている。