理化学研究所(理研)は3月1日、酵母やカビをはじめとする真核微生物約120菌株について、全ゲノムの塩基配列の概要「ドラフトゲノム」を解読したと発表した。

同成果は、理研バイオリソースセンター 微生物材料開発室(BRC-JCM) 大熊盛也 室長、遠藤力也 協力研究員、ライフサイエンス技術基盤研究センター 機能性ゲノム解析部門 眞鍋理一郎 上級研究員らの研究グループによるもので、3月4日~5日に開催される「第10回日本ゲノム微生物学会」で発表される。

配列データは、国立遺伝学研究所が運営する公共データベースにて公開されている。またゲノム解読を行った菌株のリストはBRC-JCMのWebにて公開、解読に用いたDNAはバイオリソースセンター遺伝子材料開発室から外部に提供可能な状態に整備されている。ゲノム配列上の遺伝子領域予測やその遺伝子の機能予測を加味したデータについても、BRC-JCMのWeb上で順次公開される予定。

解読の対象となった菌株は、未利用バイオマスからのエネルギー生産、環境汚染の原因となる化学物質の分解、食品の生産、真核微生物の進化・生態解明など、幅広い研究分野での利用が期待できるものであるという。

ゲノム解読された真核微生物の一部。幅広い研究分野での利用が期待できる