開発が進めば恋愛のアドバイスも可能に
それでは実際に、現時点での開発段階はどのレベルまで進んでいるのだろうか。気になるところを訊ねてみた。
「人間で言うと今2歳児ぐらいですね。今年中に10歳ぐらいにしたいと計画を立てています。6歳ぐらいを超えてきたところで、Twitterとかでつぶやけるとか、何か出したいと思っています。まずは楽しんでもらえるような。子どもたちに教えられるようになるには、20歳ぐらいですかね。まずは小学生ぐらいにできたら、"もう1人のお友だち"みたいに、寂しいところに傍にいてサポートしてくれるようなものになると思います」
一方、マンガの世界では"しずかちゃんとのび太の恋の行方"を応援するドラえもんだが、人工知能が恋愛のアドバイスまでできるようになるのか。齋藤氏は次のように考えを明かした。
「身体性を持たないロボットの場合、心の"ときめき"とかを理解するかというと、そこまでは解釈できません。とはいえ、"人を幸せにしたい"というのもAIの欲求の1つなので、"何かに恋をする"という欲求を入れることはできるかもしれません。でも、イメージができるようになるまでに10年ぐらいかかると思います。人工知能が恋愛アドバイスをできるようになったら30歳ぐらいの年齢ですね。プログラムする人の感情とか考え方といったパーソナリティが大きく反映されると思います」
シンギュラリティを目指しているわけではない
人工知能と言うと、最近では人間の知を超えて暴走することへの脅威に話題が及びがちだが、齊藤氏は「ドラえもんが目指すのはシンギュラリティではない」と強調する。
「人間社会とAIの社会は最終的には似るんじゃないかと個人的には思っています。人間の社会と同じように、悪いAIが居ればそれを封じ込めるような良いAIが登場する。『鉄腕アトム』と同じことですね。悪意を持ったAIよりも善意のAIが上回ることで自治する。30~40年後ぐらいにはそういう世界になるんじゃないかと思っています」
そしてそんな中、ネットスマイルが開発しているのは、"明るく楽しい社会"をつくる人工知能だ。「ドラえもんと話すことで、世界が広がって、人生が楽しく希望を持って暮らしていけるような人工知能」というのが、ネットスマイルが定義する、ドラえもんのような人工知能だ。