米Dellは、10月20日~22日(現地時間)、米テキサス州 オースティンで「Dell World 2015」を開催したが、このイベントの中ではプレス向けにオースティン郊外のRound RockにあるDell Parmer Campus内の「Dell Lab」を公開した。

こちらでは、新たな技術の開発やソリューションの検証などが行われている。

まず、最初に見学したのは、Dell Data Center Solutions(DCS)と、Datacenter ScalableSolutions(DSS)の1つであるEvergreen Innovation CenterとThe Sonic Lab。

Evergreen Innovation CenterとSonic Labがある建物。こちらはPS2という呼ばれる建物

Evergreen Innovation Centerでは、eBay向けのハイパースケールデータセンター・ソリューションの開発に注力している。短期間でインストール、プロビジョニングできるようにする新しい技術を使って、コストを下げ、最適化を行うという。

greenという名前の通り、エアフローやファンを最適化、AC/DC変換の効率化などで、より電力を使わないグリーンデータセンターを目指している。環境の最適化を学習することで、さらに大きなマーケットに投入していく予定だという。

Evergreen Innovation Center

Sonic Labでは、ハイバースケールなデータセンター向けソリューションを開発しており、ハードウェア、サプライチェーン、ソフトウェア、の最適化を行っているという。8月に発表したDCSは急成長している市場で、主にWebテクノロジー企業、通信サービスプロバイ ダ、ホスティング企業、石油・ガス会社、研究機関など向けに提供する。

Data Center Solutions Sonic Labの内部

10月20日には、「Dell World 2015」において、同社初の「DSS」ブランドサーバを提供開始した。

「DSS 7000」は、将来的なエクサスケールのストレージニーズを満たすよう構築された、高密度ストレージサーバ。DCS XA90を基盤とし、単一の4Uシャーシで最大720 テラバイトのストレージを提供することができる。

「DSS 7000」は、最大90のホットサービス可能な3.5インチドライブと2つの2 ソケット・サーバ・ノードを備える。

「DSS 1500」「DSS 1510」「DSS 2500」は、顧客の特有のワークロードのニーズに応えることに特化した1Uおよび2Uサーバ。最小限の設計、柔軟なストレージ、IOオプション、業界標準のベースボード マネジメントコントローラ(BMC)によるシステム管理、最新のIntel Xeonプロセッサによって、経営効率の最大化とパフォーマンスの最適化を図る。

「Dell World 2015」の会場に展示されていた(左から)「DSS 7000」「DSS 2500」「DSS 1500」

Engineered Solutions Labでは、SAP HANA向けのソリューション、HPC、ハイブリッドクラウド用途向けプライベートクラウドソリューションの最適化を行っている。

SAP HANA向けのソリューションの最適化では、設計、検査、オプティマイズを行い、統合システムとしてパッケージングする。4ソケットサーバであるPowerEdge R930で構成されたシステムで、ラック単位で納入する。顧客は納入後、すぐに利用できるという。

SAP HANA向けのソリューション

HPC分野では、HPCをより使いやすくするスケールアウトシステムを研究。現在は、ゲノム解析による小児ガンの研究に利用されているという。

ワークステーションを使ったシステムでは4日かかっていたものを、このシステムを使うことで4時間まで短縮。これにより、パーソナライズした治療が可能になるという。ゲノム解析以外にも、飛行機や自動車の設計に利用されている。

M430ブレードサーバを中心に、プロセッサ、ネットワークなどのコンポーネントを選んで、1Wあたりのコストや設置密度の最適化を行い、顧客の要件に応えるようにしているという。例えば、ゲノム解析はI/O性能が求められ、設計分野では演算処理能力が求められるなど、用途に合った適切なコンポーネントを使わないといけない分野で、コストの最適化、ROIの最適化が求められるという。

HPCシステム

プライベートクラウドソリューションでは、Microsoft Azure向けのハイブリッドクラウドシステムを開発。ラージサービスプロバイダやラージエンタープライズ向けソリューションだという。

従来は、数カ月かかっていた作業を、プリインストールして出荷することで、ユーザーは3日で使い始められるようになるという。

1~4ラックまでのシステムで、1ラックあたらり最大128サーバ搭載でき、約2000VMが稼働が可能だという。

Microsoft Azure向けハイブリッドクラウドシステム