パナソニック エコソリューションズは7月23日、25年のモジュール出力およびモジュール機器の無償保証を付与した太陽電池モジュール4製品を発表。併せて、同社の太陽電池モジュール生産拠点の1つである滋賀工場を報道陣に公開した。

パナソニックの太陽電池モジュールの生産を行っている同社 滋賀工場の外観

工場敷地内には、同社のHIT太陽電池の性能試験などを兼ねた実証サイトも置かれている

同製品は、セル-モジュールの一貫生産による高品質設計と、40年にわたって培ってきた品質管理などのノウハウの蓄積による解析力を融合させた新たなセル接続技術などの開発により、技術的に可能であるとの判断から25年にわたるモジュール出力/機器の無償保証を実現したものとなっている。

新製品の概要と、25年無償保証を実現できた背景

また、独自構造HITによる高効率化の実現に加え、新たに「ヘテロ接合の界面清浄化技術」を開発。これにより、ヘテロ接合界面の再結合損失と抵抗損失の低減が可能となり、出力を向上させることに成功。モジュールあたりの出力は最大で現行工法品で245W、変換効率は最大19.5%としている。さらに、量産ベースのセルを用いつつ、さまざまな技術を活用したプロトタイプモジュール(125mm角×72セル)において、モジュール変換効率22.5%(モジュール出力270W)を達成したとしており、順次、実際の量産品へと活用した技術の適用を進めていきたいとしている。

モジュール変換効率22.5%を実現したプロトタイプモジュールの技術的概要

さらに、最上位機種については、モジュールと架台の両方を改良した「PS(プッシュ&スライド)工法」を採用。これにより、モジュールとモジュールの隙間が減り、見た目が美しくなるほか、モジュール取り付け時の電動工具が不要となり、施工性の向上が図られ、取り付け工数および取り付け時間の短縮が可能になったとする。実際に、同社が作業時間を現行工法と比較したところ、3列4段の作業で、現行工法では4時間55分のところ、2時間48分へと短縮でき、中でも実際のモジュールの設置時間については70分の短縮を図ることができ、屋根での作業量を減らすことができることが示されたとしている。

PS工法と現行工法の違いのイメージ

左がPS工法による設置例。右が現行工法による設置例。現行工法だと、上下のモジュール間にある隙間が目立つが、PS工法ではそうしたモジュール間の隙間を極力抑えることが可能となる

なお、現行工法品が9月24日より、PS工法品が10月14日より、それぞれ受注を開始する予定で、2015年度で合計5万セットの販売を目指すとしている。また、希望小売価格はPS工法の出力250W品が17万3000円(税別・工事費別)、同120W品が7万1000円(同)、現行工法品の245W品が14万5000円(同)、同120W品が7万1000円(同)としている。

電気特性試験の様子。右のように、一瞬光が当てられ、出力状態などがチェックされる

梱包工程の様子。モジュール1枚1枚にバーコードが発行され、トレーサビリティや商品管理に活用される。ちなみにバーコード右下の値はそのモジュールの電気特性試験時の出力結果。今回、製品として梱包されていたものは出力244W品だが、同社ではその244Wを下限とし、それを上回るものでないと出荷しない扱いとしており、JISの最大出力値90%保証よりも厳しい品質チェックを行っている

今回発表された4つの新型モジュール。左からPS工法の出力250W品「VBHN250WJ01」、同120W品「VBHN120WJ01」、現行工法品の出力245W品「VBHN245SJ33」、同120W品「VBHN120SJ44」