帝人は7月13日、同社グループ会社の東邦テナックスが、航空機や自動車用途において求められる高強度と高弾性率を両立した新たな炭素繊維「XMS32」を開発したと発表した。

一般的にPAN(ポリアクリロニトリル)系の炭素繊維は、弾性率を一定以上に高めると強度が低下する傾向があることが知られていた。今回、同社では、炭素繊維の原料であるプリカーサーの構造設計や、炭素繊維の製造プロセスの最適化を図ることで、均一な構造を有する高強度・高弾性率の炭素繊維を開発したという。

このXMS32は、従来、航空機用途を中心に使用されてきた炭素繊維「IMS65」に比べ、強度・弾性率ともに10%以上の向上を達成したとするほか、炭素繊維表面の化学的特性と平滑性をナノレベルで制御する表面改質技術を開発したことで、樹脂との接着性が向上したという。

なお東邦テナックスでは、すでに航空機用途に向けて同繊維シートに樹脂をしみこませたプリプレグの開発を進めており、将来的には、自動車用途やハイエンドスポーツレジャー用途に向けてもこれを展開していく予定としている。