世界最大規模のリターゲティング・プラットフォームを提供するAdRollは3月20日、日本のデジタル広告市場に関する業界白書(State of the Industry Report - Japan)を発表した。
調査は、デジタル広告の現状を周知することを目的とし、広告事業の企画・運営に日常的に携わる200人の日本のマーケターを対象に、第三者調査機関の協力のもと実施されたもの。日本の市場で毎月3,350万回以上の広告インプレッションを配信する4,000社近い広告主によるAdRollリターゲティング広告キャンペーンから収集したハイレベルデータを考察している(2014年7月1日~2014年12月30日)。
同白書によると、広告予算の10%以上をリターゲティングに費やしている日本のマーケターの割合は2014年末時点で58%、今後12カ月にわたるリターゲティング予算の維持もしくは拡大を予定している日本のマーケターの割合は84%に上り、リターゲティング広告の活用を通した広告効果の確保が、あらゆるマーケティング段階で拡大している実態が明らかにされた。
リターゲティング広告と、実績連動型広告などのその他のパフォーマンスとの比較では、国内のマーケターの89%が検索エンジンと同等もしくはそれ以上の効果があると回答し、ディスプレイ広告およびEメールと同等という回答は91%、それ以上とする回答は87%だった。
一方、欧米のマーケターとの比較では、データに基づくマーケティングに関する日本のマーケターの知識の乏しさも浮き彫りにされた。アトリビューション分析の重要性に対する認識が高まっている一方で、アトリビューションを「非常に重要」もしくは「やや重要」と位置づけた回答者の割合は55%にとどまった。さらに、日本のマーケターの2人に1人が、自らをアトリビューショントラッキングに関して初心者だと認識しており、欧米との大きな隔たりを示す結果が明らかになった。また「ビュースルーコンバージョン(VTC)を考慮しない」と答えた日本のマーケターの割合は36%であり、米国の8%、ヨーロッパの7%を大きく上回っている。
最も注目すべきリターゲティング広告媒体としてペイドソーシャルメディアを挙げている日本のマーケターは5人に1人で、日本国内でソーシャルメディア広告がますます拡大していることがうかがえる。また、リターゲティングミックスにソーシャルメディアを追加することによってコンバージョン率が143%(平均実績)増加したことも示された。