日本マイクロソフトは3月2日、2015年7月1日付けで、社長交代を発表したことに伴い、記者会見を行った。会見には、米マイクロソフト プレジデントのジャンフィリップ・クルトワ氏、代表執行役 社長の樋口泰行氏、代表執行役 副社長の平野拓也氏の3者が出席した。
2015年7月1日付けで、現在、代表執行役社長の樋口泰行氏が代表執行役 会長に就任し、代表執行役 副社長の平野拓也氏が代表執行役 社長に就任する。平野氏は7月の社長就任を踏まえ、3月2日付けで、執行役 専務 マーケティング&オペレーションズ担当から代表執行役 副社長に就任した。
クルトワ氏は、今回の社長交代について「以前から準備していたこと」と説明した。2月に開催された同社のグローバルのリーダーが参集する会議に、平野氏も同行し、その時に社長就任が告げられたという。
クルトワ氏は、平野氏を社長に選定した理由について、マイクロソフトに在籍している10年間で日本およびグローバルの双方でビジネスを経験している姿を見て、信頼できる人物と判断したと語った。
樋口氏は、「外資企業では、突然、社長がいなくなったり、不在の期間が続いたりするが、それを反面教師として、綿密にプランを立ててきた」と、同社が社長交代に向けて、時間と手間を割いてきたことをアピールした。自身が会長に就任することについては、「社長として、内部の仕事と外部の仕事を両立するのは難しかった。今後は、会長として、外向けの仕事に注力していきたい」と語った。
具体的には、これまで同社があまりできていなかったという財界や政府とのコネクションつくりに、取り組んでいくという。また、平野氏が拾いきれなかったビジネスも拾っていくとした。
また、社長交代が行われる4カ月前に発表が行われたことについては、「そろそろ、予算策定や組織づくりが始まる時期を迎えるが、これらを統率するのは新社長となる。7月からジャンプスタートできるよう、それまでの期間を助走期間として、準備していきたい」と説明した。
平野氏は、クラウドサービス「Microsoft Azure」とDynamic CRM Onlineの国内展開、クラウド向けデータセンターの国内設置、タブレット「Surface」の営業拡販など、数々の功績を重ねてきた樋口氏の後を引き継ぐのは重責としながらも、樋口氏が推進してきた「日本に根付く会社」を継承していきたいと語った。
昨年、米マイクロソフトのCEOに就任したサティア・ナデラ氏が新たな事業方針として「「モバイル ファースト、クラウド ファースト」を表明したが、その結果が見えてきたとして、平野氏もクラウドに注力し、顧客に対しわくわくするような提案をしていきたいと述べた。
また、同社の社員に対しては、「やりがいがあり、チャレンジ精神に富んだ企業」とすべく、努力していきたいとした。
樋口氏も述べたように、外資系企業の社長交代は突然行われるケースが多く、外から見ていると、社長交代後にさまざまな調整が行われているように感じる。
今回、十分な準備期間をもって社長交代に臨む日本マイクロソフトが、今後、どのような戦略の下、ビジネスを展開していくのか期待したいところだ。