ルネサス エレクトロニクスは2月25日、ウェアラブルデバイスなど低電力・近距離無線通信の要となるBluetooth Low Energy(BLE)に対応した2.4GHzの低消費電力RFトランシーバ技術を開発したと発表した。

詳細は、2月22日から米国サンフランシスコで開催されている「国際固体素子回路会議ISSCC 2015(IEEE International Solid-State Circuits Conference 2015)」にて発表された。

同技術は、imecホルストセンターとのコラボレーションで得られた低消費電力RFアーキテクチャを元に、独自の送受信用フィルタの追加やキャリブレーション回路を組み込んで実現した。DC/DCコンバータを内蔵することで、受信時2.1mA、送信時3.6mAと世界最少クラスの消費電流を実現したという。

具体的には、特性劣化のない送受切り替えスイッチ、およびインピーダンス整合回路を内蔵した。従来外付け部品だった送受切り替えスイッチをそのままIC内に内蔵すると、挿入損失により受信雑音特性や送信電力の劣化を招く。そこで、新開発した並列型のスイッチ回路構成を採用することにより、特性の劣化を抑制した。また、インピーダンス整合回路や送受信用フィルタは、インダクタや容量を用いるために、個々に内蔵するとチップ面積が増大するが、新回路構成では、インピーダンス整合回路に用いた素子を再利用できるようになるため、少ない素子数でフィルタのオンチップ化を実現している。そして、インピーダンス整合回路は、送信時には3次高調波スプリアス除去フィルタとしても動作し、受信時にはイメージ周波数除去フィルタとして動作する。この3次高調波スプリアス除去フィルタによって、製造ばらつきに対しても強くなっている。

なお、同RFトランシーバは、40nmプロセス技術を用いて設計されており、ヘルスケア、フィットネスなどの用途に最も使われる規格であるBLEに対応する。再利用型の送受信フィルタ構成にすることにより、送受切り替えスイッチ、インピーダンス整合回路、送受信用フィルタを内蔵した上で、RFコア面積は1.1mm2まで縮小されている。そして、最少受信感度は-94dBm(規格-70dBm以下)であり、イメージ周波数妨害は-20dB以上(規格-30dBm以上)を実現している。