ExaScalerとPEZY Computingは2月23日、2014年11月にTop500で369位、Green500では世界第2位に認定された液浸冷却HPCシステム「ExaScaler1.0」の後継となる「ExaScaler1.5」を共同開発して、2015年中に実サイトで稼働を開始させる計画を発表した。

「ExaScaler1.5」は、ExaScalerが2014年9月までに開発した完全開放型で高効率の新液浸冷却システムの完全新設計による第2世代液浸冷却槽と、同液浸冷却槽向けに開発された専用のマザーボードキャリアボードモジュール、およびPEZYがNEDOの助成を受けて2014年9月までに開発していた1024コアの低消費電力型メニーコアプロセッサ「PEZY-SC」のプロセスパラメータを最適化した量産版を用いて開発が行われている。

具体的には、PEZYがメニーコアプロセッサ「PEZY-SC」の性能、消費電力の最適化版の他、DRAMを高速・低電圧のDDR4に変更した低消費電力版モジュール、「PEZY-SC」のプロセッサ間通信を実現した、高機能キャリアボードなどの開発を担当している。また、ExaScalerは、体積密度と冷却効率を突き詰めた液浸冷却システム、新液浸冷却システムに最適化したモジュール型マザーボード、ハイブリッド液浸冷却システムを実現する専用ヒートシンクの開発を担当している。そして、これら6項目の新開発要素を統合することにより、2015年中の設置と稼働を目標に構築を進めている。

稼働すると、1台の液浸槽に64個の「Xeon」、256個の「PEZY-SC」、72チャネル分のInfiniBand Switchを浸漬できる他、1台の液浸槽で、理論最大性能400TFLOPS(HPL性能で250TFLOPS以上を予定)が実現する。さらに、4台構成(タワーサーバーラック1台分の体積相当)では1PetaFLOPSの性能を達成して、理論上は"Peta in a Box(1PetaFLOPS@130~150kW)"が実現可能になる。この他、電力消費効率が6.5~7.5GFLOPS/Wと、「ExaScaler 1.0」と比較して30~50%改善される予定という。